JFEスチールは、独自鋼種である省資源型高耐熱ステンレス鋼「JFE-TF1」(Thermal Fatigue)が、昨年までに国内の自動車メーカー3社に採用されたと発表した。2013年度の販売量は前年比約5倍の1600t程度となり、2010年の販売開始以来、順調に販売を拡大している。
JFE-TF1は、同社が2010年1月に開発した高耐熱性・高加工性を有する省資源型フェライト系ステンレス鋼板。800℃を超える高温下での耐久性および複雑な形状加工にも対応できる加工性を兼ね備え、エキゾーストマニフォールドや触媒コンバータケースなど自動車の排気系部品に使用される。
従来、このような耐熱部品には、耐熱性を向上させる特性を持つモリブデン(Mo)を添加したステンレス鋼板が主に使用されてきたが、レアメタルであるMoは価格が乱高下し不安定であるという課題があったという。これに対し同社では、銅やアルミニウムという元素の活用により、Moを添加することなくMo添加鋼と同等以上の耐熱性を実現した。また、優れた加工性も有することから、従来は溶接によりつなぎ合わせて製造していた部品を一つの部品として加工することができ、部品製造の工数削減も可能となる。
今後は、国内外の自動車メーカーへのさらなる採用拡大を図るとともに、自動車分野のみならず、高い耐熱性と加工性を必要とする産業機械分野への展開を図る。これにより、現在月間130t程度の販売量を3年後には月間500t程度まで拡大を目指す。
JFE-TF1を使用したコンバータケース