大同特殊鋼( http://www.daido.co.jp )は、ダイカスト金型専用の溶接補修材「DHW」を開発、子会社である大同DMソリューションが販売を開始した。
同品は、ダイカスト金型の損傷部の補修や形状修正に使用可能で、従来溶接補修に使用されていたマルエージング鋼に比べ、補修部の金型寿命を約5倍に延長できる溶接材(大同特殊鋼調べ)。この効果により、金型の補修コスト削減および補修期間の延長による生産性向上を図る。溶接後の硬さは、ダイカスト金型とほぼ同等の43~48HRC。特定化学物質障害予防規則等に該当する元素を含まないという。
ダイカストは、溶解したアルミ合金をダイカスト金型の隙間に流し込み凝固させて部品を製造する工法であり、自動車のエンジンケースやミッションケースなど、アルミ製品の大量生産に用いられている。ダイカスト金型の表面温度は、アルミ合金が触れる際に上昇し、部品の取り出し後に低下するが、温度の上下が繰り返されると、金型表面にヒートチェックと呼ばれる微細な割れが生じ始める。ヒートチェックは生産数の増加とともに大きくなり、アルミ製品への割れ模様の転写や金型の破損を招くことがある。このため金型は、定期的に生産を止めて外され、ヒートチェック部位を除去後に溶接補修、成形され、再組付けして使用されるという。
従来、溶接補修にはマルエージング鋼が使用されてきたが、溶接部位ではダイカスト金型に必要な硬さが得られず、早期にヒートチェックが発生する問題があったという。同社では、溶接補修材の成分を調整し、溶接した状態でダイカスト金型とほぼ同等の硬さが得られるようにしたことで、ヒートチェックの発生や進行を遅らせて、従来材よりも補修部の金型寿命を約5倍に延長できる同品を開発しました。