産総研など、単層カーボンナノチューブの量産技術を開発

　産業技術総合研究所は、ナノテクノロジー最先端材料である単層カーボンナノチューブの製造に関する技術「eDIPS法」を名城ナノカーボン（ http://www.meijo-nano.com/ ）に技術移転し、両者の共同研究により同法による単層カーボンナノチューブ（SWCNT：single-walled carbon nanotube）の工業生産プラントを開発し、量産性を実証した。

　今回、開発したeDIPS法による工業生産プラントのさまざまな反応条件を最適化して、これまで名城ナノカーボンで製造販売してきた高品質カーボンナノチューブ製造に比べて100倍の製造スピード向上を実現した。この成果に基づき、名城ナノカーボンは、国産としては初めて化学気相成長（CVD）法で合成された単層カーボンナノチューブを2014年に上市する予定。これによって高品質、高純度の試料を大量に研究開発用途の市場に投入できるため、単層カーボンナノチューブの実用化研究が加速されると期待される。

開発した工業生産プラントで合成した単層カーボンナノチューブの塊（左、比較はスマートフォン）とシート状（直径15 cm）に加工した高純度（99 %以上）の単層カーボンナノチューブ（右）

　今後、引き続き共同研究を進め、量産化技術のさらなる向上と効率化を目指しつつ、用途開発や周辺技術開発を希望する企業や研究機関に高純度で高品質な単層カーボンナノチューブを供給することにより、カーボンナノチューブを利用した製品開発に貢献していく。

　また、生産規模拡大や各種の応用製品開発において連携を希望する企業を募り、名城ナノカーボンの単層カーボンナノチューブの分散技術や塗布技術、半導体型・金属型単層カーボンナノチューブの分離技術とも組み合わせて、カーボンナノチューブの工業化へ向けた企業連携・協業体制を積極的に構築していく予定である。