JFEスチールは、鉄鋼中に存在する硫黄の含有量を0.1ppmレベル(1ppmは100万分の1)まで分析できる装置を開発した。独自の「高周波燃焼-紫外線蛍光法」を用いており、従来の分析方法に比べ10倍以上の精度での測定が可能となった。
高周波燃焼-紫外線蛍光法は、高温酸素中で鉄鋼材料を急速に溶解し、材料中に含まれる硫黄を酸化物としてガス化させた後、そのガスに紫外線を当てることによって放出される「蛍光」と呼ばれる光を検出する方法。
鉄鋼材料中の硫黄は材料をもろくさせる性質があるため、含有量をできるだけ減らすことが必要となる。これまでに硫黄含有量を数十ppmから数ppmレベルまで減らした鉄鋼製品を生産する技術を確立する一方、硫黄含有量を目的の範囲に制御するための迅速かつ高感度な分析技術の開発が望まれていたという。同社ではこのニーズに対応し、鉄鋼材料中0.5ppmの硫黄を±0.1ppmの精度まで分析できる装置を開発し、西日本製鉄所(福山地区)製鋼工場内の分析室に設置した。
高周波燃焼法の長所である迅速性、および紫外線蛍光法の長所である高感度かつ妨害成分が少ない点を組み合わせることで、鉄鋼材料中の極微量硫黄測定の迅速化と高精度化を両立させた。さらに、従来法では不可欠だった、妨害成分を除去するための脱水試薬の交換頻度が大幅に少なくなり、メンテナンス性も向上した。
同装置は、鉄鋼製造におけるプロセス管理や新製品の開発に有用。近年、エネルギー需要の増大に伴い、天然ガスや石油の開発地域や開発環境は多様化しており、より過酷な環境で使用されるラインパイプ材などに用いられる低硫黄鋼の開発に使用されている。
金属材料中微量硫黄分析装置