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理研など、塗布型有機薄膜太陽電池向けに塗るだけできれいに配列する半導体ポリマーを開発

 理化学研究所と高輝度光科学研究センターは、塗布型有機薄膜太陽電池で重要なエネルギー変換効率向上に欠かせない結晶性と配向性、さらに、印刷プロセスへ適用するための高い溶解性を併せ持った半導体ポリマーを開発した。

 半導体ポリマーを用いた塗布型有機薄膜太陽電池は、軽量で柔軟、かつ印刷プロセスで作製できるという特徴を持ち、次世代太陽電池として研究開発競争が激化している。実用化への最大の課題はエネルギー変換効率の向上。これを実現するには、半導体ポリマーをより密に配列させ(高結晶性)、配列の方向をそろえる(高配向性)必要がある。しかし、塗るだけでポリマーの結晶性と配向性を制御するのは非常に困難な上、印刷プロセスで使用するため有機溶媒にポリマーを溶かさなければならないという。しかしポリマーの結晶性と溶解性は、結晶性を高めると溶解性は低下するという二律背反の関係にあり、これを両立できる材料の開発が望まれている。

 研究グループは、昨年開発した技術に基づいて、ナフタレンを基本構造に持つ結晶性の高い半導体ポリマーに、直列に炭素原子が並んだアルキル基を導入して溶解性を高めることに成功した。さらに、ポリマーの配向性も向上することを見出し、高い結晶性、溶解性、配向性を実現した。実際に太陽電池素子のエネルギー変換効率は従来の5%から8.2%に改善し、モデル素子で電荷移動度を評価したところ1桁の向上を確認した。今後、塗布型有機太陽電池の開発に重要な分子設計指針をもたらし、エネルギー変換の高効率化に貢献すると期待できるという。