トヨタ自動車( http://www.toyota.co.jp/ )は、本社工場内に次世代パワートレーンユニット開発拠点となる「パワートレーン共同開発棟」を、本社テクニカルセンター内にクルマの空力性能の向上を追求する「風洞実験棟」をそれぞれ竣工した。
パワートレーン共同開発棟
世界一の競争力を持つユニットの開発と、迅速な製品化の実現のための新組織「ユニットセンター」が本年4月1日に設置されるのに対応し、パワートレーンユニットの開発についても、ロケーションが点在していた研究・開発と生産技術の両機能(以下、両機能)を本社工場敷地内に集約。クルマの中核となる次世代パワートレーンユニットの開発拠点として本年2月から運用を開始した。
この開発拠点では、両機能が一体となって、新技術や新工法を開発するための開発業務プロセスを変革し、卓越したパワートレーンユニットの開発と、迅速な製品化の実現につなげる。オフィス内には、両機能の開発者が図面や部品・車両を一緒に見ながら議論できる場を多く配置し、そのためのスペースを充分確保するために、個人の席をなくして執務エリアを自由に使用できるオフィスのフリーアドレス化や、書類の電子化によるペーパーレス化などを新たに導入する。
パワートレーン共同開発棟は、地上12階、延べ床面積約10万m2の建物で、両機能の一体開発オフィス(7~9階)を中心に、上層部に試作・工法開発・部品などの機能評価エリア(10~12階)、下層部にユニット・車両評価を中心とした評価・適合エリア(1~6階)で構成され、同一建屋内で一連の業務を建屋内完結で行うことができる。なお、通常稼動時には約2800人の従業員が勤務する予定。
パワートレーン共同開発棟
風洞実験棟
車両の環境性能、運動性能や静粛性を一層向上させるため、本社テクニカルセンター内に「風洞実験棟」を竣工し、空気の流れに関わる車両技術開発を強化、推進する。
本年3月に運用を開始した風洞実験棟は、大型送風機と実車走行状態を再現できるムービングベルトシステムを備え、250km/h走行時までの風環境を再現し、市街地から高速走行時までの空力特性を高精度に評価できる。また、風洞内の壁や床に吸音材を適正配置することで低騒音化を図り、空気の流れによる騒音(風切音)評価も可能とした。
さらに、風洞実験棟を本社テクニカルセンター内に設置することで、デザインや設計・実験部署との密接な連携が可能となり、より魅力的なデザインや静粛性、操縦性・走行安定性の向上にも結びつける。なお、同社の実車風洞施設としては1969年の初代風洞施設導入以来、初のリニューアルとなる。
高速走行中の燃費性能向上には、空気抵抗の低減が極めて有効であり、一例として100km/h走行時の走行抵抗の約70%は空気抵抗となっている。同社は、燃費向上による省エネルギー、電気や水素をはじめとした代替エネルギーの利用促進による燃料の多様化を基本方針として環境技術開発を進めているが、風洞実験棟の本格稼働により空気抵抗低減への取り組みを強化し、環境性能の一層の向上を目指す。
風洞実験棟風洞実験棟内の大型送風機