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日立化成、タッチパネル用転写形薄膜透明導電フィルムの量産体制を構築

転写形薄膜透明導電フィルムTCTF転写形薄膜透明導電フィルムTCTF 日立化成( http://www.hitachi-chem.co.jp )は、タッチパネルの材料である転写形薄膜透明導電フィルム「Transparent Conductive Transfer Film(TCTF)」の量産体制構築のため、新たなフィルム製造ラインの導入を決定した。2013年10月の稼働開始予定。

 近年、タッチパネルは、スマートフォン、タブレットPCに加え、ノートパソコンやデスクトップパソコン等にも採用が広がっており、タッチパネルの材料である透明導電フィルムの需要が急速に拡大している。タッチパネルの多くは、タッチした位置を特定する透明な電極が基板に形成されており、透明導電フィルムにはITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)が使用されていた。しかし、ITOフィルムは蒸着やスパッタリングなどの大型設備が必要である上、加工プロセス工程が多く、生産効率を高めることが難しい課題があったという。また、タッチパネルの画面の大型化に伴い、電極の配線抵抗値が増加することから、タッチした位置を特定する精度が落ちる課題もあり、新たな透明導電フィルムの開発が求められていた。

 同社では、米国企業Cambrios Technologies Corp. が開発した銀ナノワイヤ導電インク「クリアオーム(ClearOhm)」と、日立化成のプリント配線板用感光性フィルムの技術を融合させた、銀ナノワイヤと感光層の2層構造によるTCTFを2011年に開発した。TCTFは、真空プロセスを一切必要とせず、基板に転写・接着し、露光とアルカリ現像によりファインパターンを形成できるため、加工プロセスを短縮し、生産効率の向上を図ることができる。また、大型化による配線抵抗値の増加を抑制でき、ITO並みの導電性と高透明性を両立するという。

 現在、複数の顧客においてTCTFに対する材料評価が進んでおり、2013年度の採用ならびに、TCTF事業の拡大が見込めると判断し、日立化成の山崎事業所(茨城県日立市)にフィルム製造ラインを導入することにした。