昭和電工と三菱商事は、ナノテクノロジー分野で注目される炭素素材「フラーレン」において提携すると発表した。提携に基づき、昭和電工はフラーレンの製造販売会社であるフロンティアカーボン(FCC社)の株式50%を三菱商事より譲り受け、FCC社は両社の共同運営会社となった。
フラーレンは、直径1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)のサッカーボール状の分子。有機溶媒に溶け、優れた電子受容性を持つ分子であることから、エレクトロニクス分野、特に有機薄膜太陽電池の負極材などの有望素材として期待が寄せられている。
昭和電工は、フラーレンと並ぶナノ炭素素材であるカーボンナノチューブ「VGCF」で10年以上の量産実績があり、VGCFで培ったナノ技術がフラーレン事業化に応用できると判断し今回の提携を決定した。また、三菱商事は、フラーレンの製造実績と関連特許、販売ネットワークを保有しており、両社が提携することで技術面・販売面双方で高い相乗効果を発揮しながらフラーレンの事業化を加速していく。
昭和電工は、すでにリチウムイオン電池等で広く使用されているVGCFに加えて、今回提携を決定したフラーレン事業を加速することにより、ナノ炭素素材関連の事業拡大を図る。また、三菱商事は、産業分野での技術革新を実現する可能性のある素材を扱うことで、新たな事業の創造につなげていく。