三菱マテリアルツールズは、ステンレス鋼旋削加工用としてCVDコーテッド超硬材種「MC7015」「MC7025」、PVDコーテッド超硬材種「MP7035」の販売を開始した。
ステンレス鋼は、一般に粘り強い、熱伝導率が低い、加工硬化性が高いといった特徴を有している。そのため、刃先の塑性変形による工具寿命低下が起こりやすい、溶着による異常損傷が生じやすい、切り込み境界摩耗による加工物のバリの発達が激しいなど、加工困難な被削材として良く知られている。同シリーズはこれに対応するもの。
「MC7015」「MC7025」の主な特徴は以下のとおり。
- MC7015の新開発超硬合金母材は、高硬度超硬合金母材表面に強靭層を設けることで、ハイグレード用途としてすぐれた耐塑性変形性と耐チッピング性を発揮。
- MC7025の新開発超硬合金母材は、WCの粒度とCoの配合組成を一から見直すことにより、耐塑性変形性と耐チッピング性のバランスにすぐれ、汎用グレード用途で安定した切削性能を発揮。
- 切れ刃稜線部は極めて平滑化されたコーティング表面を有し、ステンレス鋼加工における溶着チッピングを抑制。
- 薄膜・超微粒Al2O3層と強靭・微細TiCN層により耐摩耗性と耐チッピング性を高いレベルで両立。
「MP7035」の主な特徴は以下のとおり。
耐チッピング性と耐切込境界損傷性にすぐれた専用強靭母材と、耐熱性にすぐれた(Al,Ti)Nコーティングの組合せにより、不安定なステンレス鋼加工に幅広く対応