NTN( http://www.ntn.co.jp )は、軸受診断技術を応用し、世界最小クラスのデータ収集装置を用いた「風力発電機用状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)」を開発した。
風力発電機の風車のタワー上部にあり、主軸、増速機、発電機等を収めたナセル内は、一般に主軸、増速機、発電機で構成され、多くの軸受や歯車など機械要素部品が組み込まれている。このため、軸受や歯車等の異常について発見が遅れた場合、故障が全体へ拡大する可能性があり、メンテナンス費用や工数の増大、長期の発電停止につながる。特に、近年建設が進む洋上風車は、陸上風車に比べ大型化し、風力発電機へのアクセスも困難であるため、さらに発見が遅れるリスクは高まっているという。
CMSは、データ収集装置と測定用センサ、データ管理・監視・分析ソフトウェアで構成されている。データ収集装置は、世界最小クラスを実現し、ナセル内への設置が容易で既存の風車にも適用が可能。また、高度な防塵防水性能を有しているため、洋上をはじめとする、あらゆる環境にも対応できる。さらに、高精度な測定データを自動診断するほか、状態監視用各種ソフトウェアによって、遠隔地からリアルタイムに軸受や歯車等の状態を監視することが可能。これにより、早期に各部位の異常を検出し、ナセル内の損傷拡大を防止するとともに、交換部品の事前手配や計画的な補修が行え、メンテナンス費用低減だけでなく風力発電機の稼働率低下を抑制できる。
風力発電機用状態監視システム(CMS)の構成