新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、現在実施中の複合材料開発プロジェクトの研究成果が、世界最大規模の複合材料展示会の主催団体であるJEC(Journals and Exhibitions on Composites)から「技術革新賞2012(自動車部門)」を受賞すると発表した。同プロジェクトでは、量産車の車体軽量化を目指し、「炭素繊維」と「熱可塑性樹脂」を組み合わせた新規複合材料CFRTP(Carbon Fiber Reinforced ThermoPlastics)に関する材料・成形加工・接合・リサイクル技術開発を行っている。
現在の炭素繊維強化複合材料は、加工性に乏しく、生産サイクルタイムも長いため、使用用途が比較的少量である航空機や超高級車等の一部に限定されている。さらに、部材同士の接合や修復(リペア)・再利用(リサイクル)の課題も残されたままの状況。今回、NEDOプロジェクトで開発した材料・成形方法は、これらの課題を解決することが可能で、量産車使用の絶対条件である高速成形・接合性・リペア性・リサイクル性をも考慮した技術であることが高く評価された。
今後は、開発した材料・加工方法について、材料の機械的強度以外で、部材ごとの要求性能に合った多様な材料特性や複雑形状への成形対応性が必要との指摘がされている関係から、各開発ステージ間の連携性を強化して、材料データベースや成形データベースの構築を図り、信頼性の向上や安全性を考慮した構造設計、評価方法の確立等を目指す。
プロジェクトの研究開発内容と効果