三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、世界的なブローチ工具およびブローチ盤の製造会社である米国フェデラル・ブローチ社(Federal Broach Holdings, LLC)の全持分を取得することを決め、持分保有者と持分売買契約を締結した。北米・欧州市場の自動車・航空機製造業界に多くの顧客を持つ同社との事業統合によりグローバル展開を加速し、ブローチ工具事業を強化して、世界のトップシェアを狙う。
フェデラル・ブローチ社は、自動車のオートマチック変速機構に多く使われるヘリカルギヤ(はす歯歯車)を加工するヘリカルブローチ、航空機エンジン・原動機向けのクリスマスブローチなど、今後の需要拡大が期待できる製品で世界の有力企業を顧客としており、北米および欧州での売り上げが約80%を占める。アジアでの売り上げが95%以上に達する三菱重工業とは市場や製品の補完性が極めて高いことから、統合による大きな相乗効果が見込める。
フェデラル・ブローチ社は、ハリソン(ミシガン州)に本社とヘリカルブローチなどの各種ブローチ(ブランドはFederal Broach)およびブローチ盤(同Detroit Broach)の工場を構え、グリア(サウスカロライナ州)とプランテーション(フロリダ州)にクリスマスブローチ(同Southeast Broach)の工場を置く。このほか、メキシコのケレタロにブローチの再研磨サービス拠点を持っている。
三菱重工業はフェデラル・ブローチ社の買収後、同社の生産能力を拡大、各種ブローチとブローチ盤をアジア市場にも積極的に拡販する。また、同社を通じて歯車機械・工具など三菱重工業の主力製品の米欧市場に対する売り込みを図る。これらの施策により、顧客への納期短縮や、よりきめ細かい技術サービス提供を行うことが可能になるという。さらに将来は、インドの切削工具製造販売拠点Mitsubishi Heavy Industries India Precision Tools, Ltd(MHI-IPT、ラニペット市)にもフェデラル・ブローチ社の技術を移転する方針で、日米印世界3極体制でグローバル展開を一層進めていく。
左:ヘリカルブローチ、右:クリスマスブローチ