新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、 http://www.nedo.go.jp/ )は、2007年度から2011年度まで実施した「鉄鋼材料の革新的高強度・高機能化基盤研究開発プロジェクト」において、従来困難であった高強度鋼板を溶接する新技術を世界で初めて開発した。
高強度鋼板は、従来、溶接部の強度や靱性を高めるには施工条件に制約が多く、その用途が限定されてきた。今回、世界で初めて純アルゴンガス雰囲気中で安定して溶接できる「クリーンMIG溶接技術」を開発し、高強度鋼板を高い強度・靱性で安定して溶接することに成功した。
今回開発した溶接技術が今後実用化されることで、高強度鋼板の用途が大きく広がり、産業の発展や、安心・安全で省エネルギーな社会の実現に貢献することが期待される。
高い強度を持つ「高強度鋼板」は、日本鉄鋼業が強みを持つ分野であり、橋梁・建築・輸送機器など、幅広い産業への適用が期待されている。これら構造物を創るためには、高強度鋼板の溶接技術の革新が不可欠。そのため、溶接技術の開発に取り組み、革新的なアイデアによって高強度鋼継手の強度や靱性といった性能を抜本的に向上する新技術を開発した。
従来技術と開発技術におけるMIG溶接部の比較