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品川ビジネスクラブ、「オンデマンド生産システム研究会」を発足

 品川ビジネスクラブは先ごろ、「オンデマンド生産システム研究会」を発足、3月14日に東京都品川区の品川区立中小企業センターで、第1回研究会を開催した。同研究会の目的は、理化学研究所の大森 整氏が開発したELID(電解インプロセスドレッシング)研削やマイクロツール加工、マイクロ切削などの独自技術に基づくデスクトップ加工機を連携させ、オンデマンドで生産を行う仕組みを構築するもの。年3回の定例研究会と年1回のシンポジウム活動を通じて、独自技術を活用した高付加価値な部品開発をサポートするオンデマンド生産を議論し、具体化するコミュニティ形成を目指していく。未来生産システム学協会(NPS)が協力する。本年はまず5月25日に埼玉県和光市の理化学研究所で、マイクロ加工研究会との合同シンポジウムを計画している。

 大森氏の提唱するオンデマンド生産システムとは、たとえば各地のコンビニなどにデスクトップ加工機を置いて、CAD/CAMデータを加工機に転送し、遠隔操作で必要な形で必要なものを、必要なときに必要なだけ生産でき、デリバリーできるシステム。試作や研究開発の期間短縮から、機能性部品の実生産システムとしての運用を目指す。人工股関節などの一品ものから変種変量生産に対応できるほか、難削材や特殊な部品に対して高精度、超精密、ナノレベルに加工できるデスクトップ加工機により、高付加価値な製品の創出を可能にする。また、小型生産システムながら、連携させることで、大規模工場に匹敵する生産能力も実現できる。生産の海外シフトが進む中、日本に新しい製造現場を創出する都市型、次世代のものづくり基盤の一つと位置づける。

 3月14日の研究会発足式では、主査に就任した大森氏よりオンデマンド生産システム構想について説明があり、3年計画で同生産システムのプロトタイプを開発する計画が打ち出された後、理化学研究所を中心とするデスクトップマシン開発の経過について発表があった。続く研究セミナーでは、東北大学・厨川常元氏による「デスクトップ加工システム(TRIDER-X)の電気粘性流体援用マイクロ3D超音波複合加工への応用展開」についての特別講演が行われたほか、各種ELID鏡面加工機や卓上サッシ加工機などデスクトップマシンの開発例や、人工股関節や電子材料加工での研究例、微細金型製造での実用例などが紹介された。