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NTN、歯車などで切削加工から焼結合金に置き換え可能な製造技術を開発

小型歯車等の例小型歯車等の例 NTN( http://www.ntn.co.jp )は、真密度比95%以上、疲れ強さ300MPa以上(最大応力値700MPa)を達成した世界最高水準の「焼結合金」の製造技術を開発した。これまで精度や耐久性が必要なため切削加工で製造していた歯車などの動力伝達部品が焼結合金に置き換えることが可能になるという。

 近年の環境・エネルギー問題に対して、機械部品製造時の材料ロスや使用エネルギーを低減できる製法の一つに粉末冶金法がある。しかし、この方法は金属粉を押し固めて製造する方法であることから内部に微小孔が出来やすく、溶製材から切削加工で製造する部品に比べて疲労特性が劣るという課題があった。このため焼結合金を高い疲労特性が求められる動力伝達部品に適用するには、その範囲が限定されていたという。

 今回開発した技術は、材料粉末および成形、焼成条件の工夫により、1cm2当たり6~10t程度の比較的低い成形圧力で、真密度比95%以上の高密度焼結体の製造を実現した。さらに、独自の熱処理技術と組み合わせることで、1回プレス、1回焼成品で疲れ強さ300MPa以上を達成した。この高い疲れ強さにより、歯車適用時においては、歯元の耐久性だけでなく歯面の強さにおいても2GPa以上(従来品比1.5倍)を確保している。このように、材料粉末・成形・熱処理などの技術を組み合わせることにより、高精度で高密度な焼結合金を大幅に簡素化した工程で製造することが可能になり、動力伝達部品などに適用できる。

 同社は、グループ会社の日本科学冶金と協業し、焼結合金を用いた商品開発を加速するとともに、より高強度・高精度な焼結合金や複合材料の研究・開発を進めていく。
リング試験片を用いた疲労特性評価法:疲労試験機と応力振幅・・・リング試験片の上下方向を拘束し、荷重を繰り返し負荷する。試験時に発生する最大応力は引張モードで、試験片内径の上、下側に発生する。 リング試験片を用いた疲労特性評価法:疲労試験機と応力振幅・・・リング試験片の上下方向を拘束し、荷重を繰り返し負荷する。試験時に発生する最大応力は引張モードで、試験片内径の上、下側に発生する。

疲れ試験結果<応力比0.1>:左は疲労試験結果、右は焼結状態 疲れ試験結果<応力比0.1>:左は疲労試験結果、右は焼結状態