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東レ、ナノ構造制御技術により炭素繊維強化熱可塑性プラスチックの新規複合化技術を開発

 東レ( http://www.toray.co.jp/ )は、ナノ構造制御技術の追求により、射出成形用の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(熱可塑CFRP)における炭素繊維と樹脂の新たな複合化技術を開発した。

 今回の技術の適用により、長繊維の炭素繊維強化でありながら、相反する要件である熱可塑樹脂中での炭素繊維の分散性と接着性を高いレベルで両立しており、少ない使用量でも効率よく補強効果を発現させることができる。同等の強度を持たせたガラス繊維強化プラスチックと比較して20%以上の軽量化の実現が可能となった。今後ますます重要となる自動車・航空機などの輸送機器用や、家電・モバイル製品用といった部品の軽量化・高機能化に貢献できる材料の開発に期待できるという。

 これまでにも、熱可塑性樹脂に炭素繊維を配合し複合化した射出成形用材料は開発されていたが、樹脂と炭素繊維の接着性が低いために、炭素繊維が本来保有している高強度や高弾性率を充分に発揮できていなかったという。

 これに対して今回同社では、組み合わせる熱可塑性樹脂ごとに炭素繊維の表面改質を最適設計することで、炭素繊維を樹脂中に均一に分散させるとともに、炭素繊維と樹脂の接着性を高めるための成分を併用することにより、界面構造をナノレベルで制御し、従来技術では達成できなかった高い界面接着性を達成した。

 これにより、例えば曲げ強度を従来比30%以上向上させることも可能になった。現在、この技術により、ポリプロピレン(PP)およびポリフェニレンサルファイド(PPS)の各樹脂における炭素繊維強化ペレットの開発を進めており、PPはすでに一部販売を開始している。