日本粉末冶金工業会( http://www.jpma.gr.jp/ )はこのほど、「平成23年度日本粉末冶金工業会賞」を発表した。同賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設、2011年度で33回目となる。
同賞は、工業会事業に貢献した個人を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」からなる。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与している。また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰している。
今回は工業会大賞、原料賞、設備開発賞、設備開発賞は該当なしで受賞者は以下のとおり。
新製品賞・デザイン部門
「プラスチック歯車より優れた低騒音焼結歯車の開発」・・・ポーライト
低騒音化を実現するために組織制御や低密度化など焼結材料の特徴を活かすとともに、歯車の高精度化によりインサートプラスチック歯車よりも低騒音化を実現しつつコストダウンした点、今後の水平展開も期待される点が評価された。
「新嵌合形状による軽量型焼結拡散合金キャリアの開発」・・・日立化成工業 粉末冶金事業部
焼結拡散接合面の形状を径方向から回転方向に変更することで接合強度を向上し、さらに軽量化を実現した点、大型製品の設計自由度が広がり今後の展開が期待できる点が評価された。
「高機能、低価格を実現したベースバルブケース」・・・ファインシンター
吸着防止気孔を持たせるためにサイジングによる高精度シート面上への微小凹形状転写技術を開発した点、量産数量も多く今後の可能性があり業界への貢献度が高いと評価された。
「可変バルブタイミング機構用スラストプレートの開発」・・・ダイヤメット
φ77組付け面(研磨並みの平面度)を製造プロセスの改善により加工レスで達成した点、本開発で培われた高精度化技術が焼結部品の適用範囲を広げ市場拡大も機第できる点が評価された。
「自動車用シートリクライニング部品のネットシェイプ化」・・・ダイヤメット
成形方法の工夫とバレル条件の最適化により、再圧縮・機械加工無しで寸法精度と表面粗さが確保できた点、二個取り成形やシンプルな工程での生産によりコスト低減し市場を拡大した点が評価された。
「超高速回転用焼結含油軸受」・・・ポーライト
軸受のデザイン設計により48000rpmという高速回転用モータに焼結含油軸受を適用できた点、コストの大幅低減や軸受の適用範囲を広げ市場拡大も期待できる点が評価された。
新製品賞・材質部門
「グローバル対応が可能なフューエルポンプ用耐食軸受材料」・・・ダイヤメット
焼結材料の特徴を活用した材料成分の最適化により、優れた耐食性、耐摩耗性、軸受性能を発揮する材料を開発した点、量産数量も多く今後更なるグローバル展開が可能な点が評価された。
新製品賞・製法開発部門
「樹脂インサートに好適な焼結軸受の製造方法」・・・ダイヤメット
樹脂インサート用焼結軸受の回転防止とスラスト方向の脱落防止形状をサイジング工程のみで達成した点、大はばなコスト低減及び生産数量の実績が大きい点が評価された。
奨励賞
「応答性に優れた中間ロック機能付可変カムタイミング部品群の開発」・・・住友電気工業
積極的なデザイン・インにより、ロック機構穴への高周波熱処理技術の開発やインナープレートの平面度確保など焼結の特徴を活用して低価格化を実現し、VVTユニットに12点も採用された点が焼結部品拡大による業界貢献度が大きいと評価された。
「オーブンレンジ用高温耐久性の焼結含油軸受」・・・ポーライト
高温耐久性を確保できる潤滑油を使用するために、最適な通気度や油漏れ対策形状を付与した含油軸受を開発した点、オープンレンジ等の家電製品に採用され、新市場を開拓した点が評価された。