カネカ( http://www.kaneka.co.jp )は、2007年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、航空・宇宙機において耐熱性能が必要な金属材料部品の代替を目的に研究を進めてきた、高耐熱性炭素繊維強化複合材料を製造する際の成形加工性に優れた新規熱硬化型イミド樹脂を開発した。
この新規熱硬化型イミド樹脂を用いて試作した高耐熱性炭素繊維複合材料は、航空機ならびに人工衛星用の耐熱構造部材への本格的な適用に向けた評価試験をJAXA内で開始している。
ポリイミド樹脂を母材とする高耐熱性炭素繊維複合材料の製造方法は、まず、中間体材料として炭素繊維に熱硬化前のイミドオリゴマー樹脂を被覆させたシート状のプリプレグを溶液含浸法にて作製し、次にこれらを所定の大きさに裁断した後に、複数枚を積層して、加圧下で加熱(熱硬化)して製造される。
今回開発した新規熱硬化型イミド樹脂は、従来の溶剤溶解を大幅に改善し、複合材料の製造を容易とするだけでなく、作製した複合材料は370℃以上の耐熱性と高い靭性を兼ね備えた物性を発現可能である。
航空・宇宙機の耐熱性能を要求される構造部材(エンジン周辺構成部材等)には、200℃以上での高温条件下において発現する強度の観点から主にチタン合金が使われている。これらにおいて高耐熱性炭素繊維強化複合材料を適用することで、大幅な重量減による燃費の低減、最適設計による強度の向上、一体成形による部品点数の低減、コスト低減等のメリットが得られる。今後、航空・宇宙分野に限らず、産業用途への市場開拓も目指す。