日立化成工業( http://www.hitachi-chem.co.jp )は、中国における太陽電池用導電フィルム「CFシリーズ」の事業拡大を図るため、2013年4月から中国南通で生産を開始する。また、合わせて異方導電フィルム「アニソルム」の生産の一部を移管し、今後中国での生産拠点化を進める。南通では、日立化成工業(南通)化工有限公司が2013年1月から機能性樹脂・化学素材の製造および販売を開始するため準備を進めているが、今般、約20億円を投じ、同社内に新工場を建設する。
太陽光発電は、温室効果ガス削減への取り組みとして、また、再生可能エネルギーとして期待が高まっている。加えて、発電コストの低下や新興国における電力消費の増大により、その市場は今後さらに拡大すると予測されている。それに伴い、中国では太陽光発電に使用する太陽電池パネルの生産が拡大しており、2012年までに世界の8割に達する世界最大の供給拠点となる。なかでも、華東地区でその約8割を生産すると見込まれているという。
このような背景を踏まえ同社では、下館事業所(五所宮)に加え、中国華東地区に所在する日立化成工業(南通)でも、CFシリーズの生産を開始することとした。CFシリーズは、結晶系シリコン太陽電池セルの電極とタブ線のはんだ接続において、現状のはんだ接続で課題となっていたセルの反りや割れを抑制し、かつ無鉛(RoHS指令対応)でありながら180℃以下での低温接続が可能。
一方、アニソルムにおいても、下館事業所(南結城)および同(五所宮)に加え、日立化成工業(南通)でも、生産を開始することとした。アニソルムは、液晶ディスプレイ等のFPD(フラットパネルディスプレイ)の回路接続に用いられる接着フィルムであり、微小回路を一括して接続することが可能で、同社は世界トップシェアを有している。