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日機連、平成22年度機械工業の生産額見通しを調査、前年度比で11.7%増の68兆7777億円

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 日本機械工業連合会( http://www.jmf.or.jp )は、平成22年度の機械工業の生産額見通しを調査、前年度比で11.7%増の68兆7777億円であると発表した。

 この数字は、同連合会が毎年関係工業会の協力を得て年度ごとの機械工業の見通しを行っているもの。業種別機械工業の動向として1.一般機械 2.電気機械 3.情報通信機械 4.電子部品・デバイス5.輸送機械 6.精密機械 7.金属製品 8.鋳鍛造品に分類して調査を行っている。

 日本の機械工業は、前年度からの各国政府による景気対策の効果や、中国・アジア等の新興国を中心とする海外経済の回復に伴う輸出の増加、国内ではエコカー減税・補助金、家電エコポイントなどの政策効果による押し上げ、猛暑効果などに支えられ、生産は緩やかに持ち直した。さらに、企業収益の改善や設備投資の持ち直しも見られ、輸出関連、景気対策関連絡みの機種を中心に増加した。 こうした中で平成22年度の機械工業生産額は前年度比11.7%増の68兆7777億円となった。

 一般機械の生産額は前年度比(以下同様)29.9%増の12兆7947億円となった。機種別にみると、ロボットは需要産業である自動車や電子・電気機械の回復を受け92.8%増。金属工作機械は国内向けの回復は緩やかなものの、中国をはじめアジア向け需要が好調で101.5%増。第二次金属加工機械は国内は回復基調には程遠かったものの、中国や東南アジア地域での好調に支えられ0.4%増。鋳造装置は鋳造機械等の設備に過剰感があったものの、ダイカストマシンは需要が大幅に回復し11.7%増。食料品加工機械は海外では中国を中心としたアジア諸国での設備投資需要があり、国内では一部手控え状態であった設備投資が再開されたことから8.0%増。軸受は自動車、産業機械向けが回復し、東南アジア向けも伸びたことから27.2%増。半導体製造装置およびびFPD製造装置はV字回復局面から成長局面に入りつつあり、液晶TVを中心とした大型の設備投資も行われ72.7%増加した。


 輸送機械の生産額は前年度比(以下同様)5.1%増の27兆7901億円となった。機種別にみると、自動車は国内販売では年度前半にエコカー減税・補助金による押し上げ効果、景気回復に伴う需要喚起があり、後半には補助金終了に伴う反動減と震災の影響を受けたものの輸出において全体として回復基調が継続したこと等から、自動車全体では4.6%増。自動車部品は自動車市場で上期はエコカー減税・補助金により国内需要が回復し、アジア地域の新興国向け輸出も堅調だったことから6.0%増。産業車両はフォークリフトトラック、ショベルトラックともに国内外とりわけ海外市場が回復したことから40.0%増。鋼船は引き続き安定した高水準の竣工が続いたことから4.5%増。航空機は機体部品、発動機部品が減少したものの、機体、発動機、装備品が増加し、全体で2.0%増加した。

 精密機械の生産額は前年度比(以下同様)14.0%増の1兆2436億円となった。機種別にみると、計測機器は計量機器は自動車、工作機械向けで回復、分析機器は海外の需要が回復、測量機器は低価格製品が伸びたことから14.5%増。光学機械は写真機が9.2%増、望遠鏡・顕微鏡が理科教育振興による大型補正予算やアジアの新興国を中心に設備投資が活発化したこともあり14.2%増、カメラの交換レンズ・付属品が12.4%増となり、光学機械全体で11.9%増加した。

 金属製品の生産額は前年度比(以下同様)9.6%増の2兆7267億円となった。機種別にみると、鉄構物・架線金物は4.0%減。ばねは熱間成形ばね、冷間成形ばねが共に回復し9.9%増。機械工具は特殊鋼工具がアジア向けの需要増により57.9%増、超硬工具が中国をはじめとする輸出主導の急回復により46.8%増、ダイヤモンド工具が半導体、自動車向けが回復し40.6%増、機械工具全体では47.2%増、バルブ・コック・鉄管継手は新興国向けの需要が回復し6.7%増加した。

 平成23年度の機械工業は、前年度末に発生した東日本大震災による甚大な被害により回復過程をたどっていた生産への下押し圧力が強まった。震災による部品を中心としたサプライチェーンの寸断や電力不足による生産減で設備投資も抑制気味に推移、また消費者マインドの悪化等による個人消費の下振れや、雇用情勢も持ち直しの動きに足踏みが見られるなど、景気全般に厳しい影響を与えている。また、原油等の資源価格や円高の動向等、当面先行きの不透明感がぬぐいきれないが、一方でサプライチェーンの復旧が前倒しで進んでいることや新興国経済の改善などによる輸出の伸び、更に年度後半からは復興需要が本格化するなど、景気は徐々に回復軌道をたどるものと見られる。 こうした中で平成23年度の機械工業生産額は前年度比0.8%増の69兆3286億円となる見通しである。