三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、大形ギヤシェーパSEAシリーズに直径1,600mmの大径歯車加工に対応した「SEA1600」を加え、6月20日に本格販売を開始する。新型主軸早戻し機構を搭載するなど、切削以外の時間を減らす工夫により、サイクルタイムの短縮を実現したのが特長。建設機械や風力発電設備などの大径歯車加工向けを中心に、需要を開拓していく。
SEA1600は、外歯および内歯のワークについて1,600mm径まで加工でき、最大モジュールが25までの歯車に対応する。新型主軸早戻し機構は、1ストロークの切削終了点から次のストロークの切削開始点までカッターを移動させる際、高速で主軸を移動させることなどにより、サイクルタイムが短縮する仕組み。最高切削速度は40m/分で、最高戻り速度は70m/分となっている。
同機は他機種と仕様を共通化するモジュラーデザインにより、標準部品の採用を徹底。直径が1,600mm以下のワークに合わせた各種テーブルサイズにも柔軟に対応できるようにした。また、またぎ歯厚(連続する数枚の歯[外歯車]または歯溝[内歯車]を隔てた外側の両歯面に接する平行2平面の距離)の機上計測機能やATC(自動工具交換装置)をオプション搭載することにより、仕上げ寸法まで作業者が段取り替えなどで関与せずに加工できるようになり、不良ワークの発生を最小限に抑えることができる。
近年、建設機械やデッキクレーンの減速機・旋回輪、風力発電設備の増速機や旋回部、サーボプレス機や舶用機械、製鉄機械などの大径歯車に対する需要が増大。このため、大径歯車の高能率・高精度な加工を実現する歯車機械に対する需要が世界的に高まっているという。
同社はこうした流れを受け、2010年から直径2,000mmまでの大径歯車加工に対応できるホブ盤、ギヤシェーパ、歯車研削盤の拡充を順次進めラインアップを充実させてきた。今後、さらなる事業拡大を狙い、大形歯車機械を中心としたアフターサービス、メンテナンス、工具までカバーする新たなビジネスモデルを構築していく。