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産総研、低コストで単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の構造分離を実現

それぞれ、電気的特性が異なる。図中の数字は、SWCNTの構造を表す指数。そのほか、金属型SWCNTと構造分離されなかった半導体型SWCNTの混合物も同時に得られる。それぞれ、電気的特性が異なる。図中の数字は、SWCNTの構造を表す指数。そのほか、金属型SWCNTと構造分離されなかった半導体型SWCNTの混合物も同時に得られる。 産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )は、多段のゲルカラムに単層カーボンナノチューブ(SWCNT)分散液を注ぐだけで、炭素原子配列の異なる半導体型SWCNTを簡単に分離・回収できる技術を開発した。

 SWCNTはさまざまな構造の混合物として合成されるが、金属型・半導体型という電気的性質の全く異なったSWCNTだけでなく、同じ半導体型でも電気的特性の異なるものが含まれている。電子デバイスへの応用には、電気的特性の異なるSWCNTを個々の構造に分離する必要がある。

 産総研では、ゲルを用いたSWCNT分離技術を開発してきたが、今回これを大きく発展させ、ゲルを充填した多段カラムにSWCNTの分散液を注ぐだけで、電気的特性の異なる半導体型SWCNTを精密に分離できる画期的な技術を開発した。使用する分散剤は安価で、ゲルカラムは繰り返し使用でき、自動化が可能な分離手段であるため、低コストで大量分離が可能となる。

 今後、量産技術を確立し、単一構造半導体型SWCNTを次世代半導体材料として、10年後の実用化を目指す。また、実用化を目指した応用展開を共同で開発するパートナー企業を求めている。