経済産業省( http://www.meti.go.jp )は、医療機器分野の活性化・国際競争力の強化を図るため、部材供給の活性化を含めた医療機器産業の新規参入を促進することを目的として、20年度に設置した研究会で行政や業界の取り組むべき方策の検討を行い、このほど「研究報告書」と「医療機器の部材供給に関するガイドブック」として公表した。
我が国は世界に誇れる優れたものづくりの力を有しており、近年、高度な技術を活かして医療機器産業への参入を目指す中小企業の動きが活発化している。一方、医療機器産業は薬事法等の規制産業であり、医療機器分野への参入には高い壁があるとの指摘がある。また、医療機器のリスクに対する懸念から、部材メーカーが医療機器(特に埋め込み型治療機器)への材料供給に躊躇する例があるとの指摘もあり、部材供給問題も医療機器産業活性化の阻害要因のひとつとなっている可能性がある。このような問題を解決するため、経済産業省では2008 年度に医療機器等に対する部材供給を活性化し、医療機器産業への参入を促進するための方策について検討するために、「医療機器分野への参入・部材供給の活性化に向けた研究会」を立ち上げ、3年間の計画で検討を行ってきた。
研究報告書では、中小企業の医療機器分野への新たな参入促進のため、医療機器産業育成に資するコーディネータの状況や、中小企業の海外展開の現状についてとりまとめを行った。また、医療機器に関連する製造物責任(PL)のリスクについても現状の分析等事実関係のとりまとめを行った。さらに、部材供給問題を解決する方策として、医療機器に関連するリスクの「見える化」を行い、部材メーカーと医療機器メーカーのリスク分担やリスク管理の重要性について「医療機器の部材供給に関するガイドブック」としてとりまとめを行った。
ガイドブックでは、医療機器分野への異業種からの参入促進や材料供給に関する前向きな動きを後押しするとともに、日本の優れたものづくり技術を活かして、異業種企業と医療機器業界とが共同して新たなものを生み出していくための礎として、医療機器の部材供給に関して、部材供給企業、医療機器メーカーの双方が留意すべき事項などについて記載した。