三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、台湾の太陽電池メーカーであるAuria Solar社(宇通光能股份有限公司)と、シリコン薄膜太陽電池の開発・生産・販売において、資本関係も含めた協業のあり方について詳細な検討に入ることで合意した。太陽電池事業のコスト競争力強化とグローバル市場での機動的な展開を加速していくのが狙い。
具体的には、長崎造船所諫早工場(長崎県諫早市)微結晶タンデム第一工場の1ラインを用いて三菱重工業がシリコン薄膜電池の開発・生産・販売を継続する一方、Auria社に資本出資、技術供与、生産ラインの移管を行うことを検討する。
太陽電池市場は各国が推し進める導入促進策などを背景に、これまでの主要市場であった欧州だけでなく、高温に強いシリコン薄膜電池のメリットが生かせるインドや東南アジアなどの新興国でも順調に拡大し始めている。しかし、急激な円高に加え、中国や台湾メーカーの台頭に伴う競争激化により製品価格が下落、更なるコスト競争力の強化が同社の喫緊の課題となっていた。
今回の合意は、世界最高速の成膜速度を誇るPCVD(プラズマ援用化学蒸着)設備を有する当社のさらなるコスト競争力強化への思いと、性能向上を通じて一層の生産規模拡大と競争力強化を目指すAuria社の考えが一致したもの。
Auria社は微結晶タンデム型太陽電池の台湾トップメーカー。2007年の設立で、年間6万kW規模の生産能力を持つ。優れた生産技術力に裏打ちされた戦略的な事業を展開、コスト競争力を武器に、東南アジアやインドをはじめとする新興国市場の開拓に取り組んでいる。また、同社は現在、生産能力を倍増させるための新工場の建設を検討中で、三菱重工業のPCVD技術を導入して、世界最高レベルの製品競争力を持つ工場としたいとしている。
三菱重工業は2002年に諫早工場にシリコン薄膜電池の生産設備を建設して太陽電池市場に参入、果敢な事業を展開してきたが、世界的な金融危機に端を発する市場環境の変化や急激な為替変動などを受け、さらなるコスト競争力を有す生産体制の構築を迫られていた。同社は今回の提携の詳細協議を機に、太陽電池事業の一層の競争力強化とグローバル市場での機動的な事業展開を加速していく。