産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )は、平成21年度の経済産業省の補正事業により日本ゼオンとともに、スーパーグロース法による高純度単層カーボンナノチューブの大量生産設備の開発を進め、このほど、一日あたり600gの生産能力を実現した。
従来の実験室レベルの合成装置はバッチ式で、生産量は一日あたり1g程度に止まっていたが、飛躍的に生産能力を向上させた。この設備の開発には、新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)「カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」の成果が活用され、それを発展させることで実現したものである。得られた単層カーボンナノチューブの形状は、これまで研究開発設備で製造した試料とほぼ同等であり、単層カーボンナノチューブの持つ優れた機能を最大限発揮した透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタ、キャパシタ等への応用に弾みがつく。
この成果を活かし、産総研は、つくばイノベーションアリーナ(TIA)のカーボンナノチューブ研究コアの活動の一環として技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)との協力の下、単層カーボンナノチューブの基盤研究を加速し、大量試料を必要とする用途研究開発を推進する計画である。