住友電工ハードメタル( http://www.sumitool.com )は、鋳鉄加工の中で工具寿命が不安定となりがちな断続加工や鋳肌の粗取り加工において、従来材種の1.5倍以上の耐摩耗性と耐チッピング性を実現するCVDコーティング材種「エースコートAC420K」を開発、販売を開始した。初年度2億円、3年後に6億円の売上を目指す。
近年、自動車分野では、地球環境への配慮から各部品の薄肉・軽量化を目的として、ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)から、より強度が高く被削性の悪い、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)が用いられるケースが増加しているという。また、部品加工の現場では、加工コスト削減のため、複雑形状における断続加工や、鋳肌をそのまま加工する粗取り加工など、過酷な切削環境が増えており、長寿命を安定して発揮する工具へのニーズが高まっている。
こうしたニーズに応えるべく、同社は、被削性の悪いタグタイル鋳鉄の断続加工や鋳肌加工でも長寿命を発揮する工具新材種同品を開発した。
同品は、同社独自の微細・平滑CVDコーティング「スーパーFFコート」技術による、平滑で高強度なα-アルミナ膜を採用することにより、従来材種と比較して鋳肌の粗取り加工における耐摩耗性を1.5倍以上向上した。また、高強度の超硬合金母材、膜構造の採用、さらにコーティング膜表面への特殊な表面処理により工具強度を向上、信頼性を大幅に高めた。これにより、不安定な鋳肌の加工や断続加工における耐チッピング性を従来製品比1.5倍以上向上した。販売価格は従来製品と同設定とした。