超硬工具協会( http://www.jctma.jp )は1月13日、東京・丸の内の銀行倶楽部で「平成23年新年賀詞交歓会」を開催した。
冒頭、挨拶に立った倉阪克英理事長は「昨年を振り返ると中国を中心とした先進国の需要が拡大し、欧米についても内需の振興策が功を奏してきた。国内においては、エコに関する施策の効果が出てきて僅かながら回復基調と認識している。超硬工具業界の出荷高としては、昨年に今年度の見通しを2,800億円と発表したが、年度内に達成される見込みである。この数字は、07年度に最高を記録した3,572億円の78%、08年度と同水準である。これを円高の影響を踏まえて10年度10、11月実績の焼結重量で見ると07年度の94%まで回復している。また、刃先交換チップの同月を見ると、110%と重量では07年度を超える量である。特に、中国を含めた東アジアへの輸出量が7割と増加している。日本の製造業は縮みとも言える厳しい環境にあるが、日本の力あるものづくりを高めて製造、販売をグローバル展開していくのがこれからの方向性である」と業界の現在の状況と今後のあり方について述べた。
来賓の挨拶は経済産業省製造産業局産業機械課長の藤木俊光氏が行い、同会副理事長・木下德彦氏の乾杯の発声により懇親会に移った。
賀詞交歓会に先立ち行われた「平成22年度超硬工具協会賞表彰式」では、中村裕氏(東邦金属・相談役)が業界功労賞で表彰された。このほか、技術功績賞で10社12件、作業・事務・生産技術等の改善賞で7社7件が表彰された。受賞者代表挨拶を行った中村氏は「平成15年から4年間、微力ながら監事の大役を務めさせて頂いた。当時、新公益法人会計基準の採用に関する提言、また生悦住賞、新庄賞の運用に対する提言をさせて頂いたことが本日の受賞に繋がった。良き思い出として大事にしたい。昨今厳しい世相ではあるが、本年が超硬工具協会にとって未来への希望が見出せる素晴らしい年になると祈念している」と謝辞を述べた。
超硬工具協会賞受賞一覧
業界功労賞
中村裕氏(東邦金属)
技術功績賞
「マジックドリルDRX型」の開発(京セラ)
複合材用ドリル「コロドリル854および856」の開発(サンドビック)
刃先交換式ドリル「SumiDrill WDX型」の開発(住友電工ハードメタル)
鋼高速旋削用CVD材種「エースコートAC810P」の開発(住友電工ハードメタル)
高能率高精度加工対応「フィニッシュジェットミル」の開発(ダイジェット工業)
鋼・ステンレス鋼加工用材種「AH725」の開発(タンガロイ)
窒化珪素工具新材種「SX6」の開発(日本特殊陶業)
超高能率加工用エンドミル「エポックミルスシリーズ」の開発(日立ツール)
ミーリング加工用「厚膜PVDコーティングJS」の開発(日立ツール)
サポート装置付アングルヘッドの開発(富士精工)
フジロイポーラス合金工具の開発(冨士ダイス)
マルチクーラントホール付エンドミル「CoolStar」の開発(三菱マテリアル)
作業・事務・生産技術等の改善賞
S10000運動(住友電工ハードメタル)
形状測定治具の考案による検査効率の向上(ダイジェット工業)
コーティング工程における作業改善による品質歩留向上(日本特殊陶業)
タングステン粉還元工程の改善(日本新金属)
窒素添加サーメット研削用ダイヤ砥石の低消耗化(冨士ダイス)
空調設備改善による環境負荷低減と省エネ化(三菱マテリアル)
超硬の研削スクラップの有効活用について(矢野金属)