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三菱重、高効率ガスタービンの試運転を開始

三菱重工業「M501Jガスタービン」 三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は2011年2月から、タービン入口温度1,600℃級で、高効率のJ形ガスタービンの試運転を開始する。そのため、これまでG形ガスタービンの実証運転施設となっていた高砂製作所(兵庫県高砂市)実証設備複合サイクル発電所内のガスタービンを換装する工事に着手、13日には最新鋭のJ形ガスタービンの据付けが開始された。

 J形ガスタービンは昨春、同社独自技術により開発を完了、商用化された。これまでの最上位機種である1,500℃級G形ガスタービンに比べ入口温度をさらに100℃上昇させたもので、これにより、ガスタービン定格単機出力約32万kWを実現。排熱回収ボイラーおよび蒸気タービンを組み合せたガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)では出力約46万kWとなり、発電端熱効率は世界最高水準の60%以上(低位発熱量)を達成した。

 同品は環境負荷の低減に大きく貢献するのも特長。ガスタービンにより発電を行い、その排熱を利用して蒸気タービンでも発電するGTCC発電は、発電効率が大幅に向上するために、CO2の排出量を大幅に低減することが可能だが、これにJ形ガスタービンを用いると、従来型石炭焚き火力発電と比べCO2排出量を約 50%低減することができる。また、通常、燃焼温度が高まるにつれて増加する窒素酸化物(NOx)の発生も従来機と同レベルに抑制する。

 高砂製作所は、ガスタービンの開発設計から製造、実証までを一貫して手掛ける事業所。今回、J形ガスタービンの据付けが開始された実証設備複合サイクル発電所はその敷地内にあって、これまでも大型ガスタービンとその要素技術の実証を行なうなど、新型ガスタービンの商用化や更なる高温効率化技術の開発と検証に大きな役割を果たしてきた。

 これまでの最新鋭機であり、全世界で活躍しているG形ガスタービンは、国内外ですでに66基の受注実績を持ち、シリーズとしての累積運転時間も70万時間を超えている。

 同社はすでに、2011年以降の出荷案件からJ形ガスタービンの商談に対応しており、“高砂から世界に発信する”新世代ガスタービンの営業に全力で取り組んでいる。また、今回の長期実証運転を更なる高温効率化技術の開発に繋げていく計画で、低炭素社会の実現に向け、もう一つ先の高効率ガスタービンの開発も引き続き推し進めていく。