三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は10月8日(現地時間7日)、米国アーカンソー州フォートスミス市に設立する風力発電設備組立工場の建設を開始した。同設備の中核機器であるナセルを生産するための工場で、当面の生産能力は年間約60万kW。需要拡大が期待される北米市場の需要を取り込んで、シェア拡大を目指す戦略拠点となる。生産開始は2011年秋。同社が海外でナセルを生産するのは同工場が初めて。
新工場は、同社原動機事業の米国拠点であるMitsubishi Power Systems Americas社(MPSA、本社フロリダ州)が運営・管理する。当面、三菱重工業の主力大型機種である2,400kW風車を年間約250基生産する方針で、その後段階的に生産量を拡大していく計画。また、今後需要の伸長が予想される低風速域向け長翼機種の投入なども検討していく。敷地面積約36万m2、工場建屋面積約1万9,000m2で、330人規模の雇用を予定。
なお、今回の工場建設には州および市政府による優遇策が付与されるほか、連邦政府の再生エネルギー事業に対する税優遇制度措置の対象にもなっている。
ナセルは、風力発電設備のタワー頂部にある風力を電力に変える装置。風車の回転軸、発電機、増速機、制御装置、電気設備などで構成する。
同社は1980年の初号機納入以来、四半世紀余にわたり、風力発電設備の自主開発・製作・供給に取り組んできた国内最大の大型風力発電設備の総合メーカー。米国への参入は1987年で、以来、約3,300基の米国納入実績を誇っている。すでに北米向けのブレード(翼)生産拠点としてVienTek社メキシコ工場を確保しているが、今回、北米にナセルの生産拠点を構築することで、為替リスクを回避しつつ、拡大する北米需要により一層積極的に対応していく。