川崎重工業は、稲わらを原料とした「熱水式バイオエタノール製造技術」を用いて、自動車燃料として使用可能なバイオエタノールの製造に成功した。
これは、農林水産省の「ソフトセルロース利活用技術確立事業」の一環であり、同社は秋田県農業公社とともに、2009年1月より本事業に取り組んでいる。本事業では秋田県の全面的な支援のもと、同社がバイオエタノールの製造および走行実証を秋田県農業公社が原料の収集運搬実証を担当している。
同社は、2009年11月に秋田県潟上市に日産200リットルの生産能力を持つ製造実証プラントを設計・建設、バイオエタノールの製造に取り組んできた。今回、大潟村ソーラースポーツラインにて、本プラントで製造したバイオエタノールを使用して走行実証試験を行い、自動車の安定走行と本エタノールが自動車燃料としての基準を満たしていることを確認した。
今回のバイオエタノール製造実証は、稲わらの糖化工程において同社の新技術である「熱水式バイオエタノール製造技術」を採用している。この技術は、従来の糖化工程に用いられている硫酸や酵素を使用せず熱水を用いて糖化処理を行うことが特長で、硫酸の回収設備や耐酸性容器等を必要とせず、現状ではコスト高である酵素を使用しないため、製造コストの低減を実現する。
また、熱水の条件を適切に設定することによって、稲わら以外のソフトセルロースについても糖化処理が可能となる。
同社は、本プラントにおいて、稲わらの前処理、糖化、発酵、蒸留および無水化設備までを一貫して設計・製作しており、本事業の実施期間である2012年度まで製造コストの低減を目指した実証試験を継続し、商用化に向けて1リットルあたり40円以下の製造コストが実現できるシステムの確立を目指す。