三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、下関造船所(山口県下関市)内に建設を進めてきたブラスト・塗装工場が完成、10月5日、これを記念して現地で竣工式を行った。
内航船や特殊船の競争力を強化し高付加価値船舶の生産性の向上を図る設備投資の一環。同工場の稼働により、国際海事機関(IMO)の新しい塗装基準に対応して、船舶の構造に組み込まれるバラストタンクの下地処理から塗装までを、安定した温度・湿度下で一貫して行えることとなる。
ブラスト・塗装工場は、江浦工場の第一ドックを埋め立てた跡地約3,000m2を活用して建設。空調設備や防塵システム、ブロック移動装置などを備えた工場を新設した。最大28.7m×13.6m×8.7m、150tのサイズの船体ブロックの構造に組み込まれたバラストタンク部について、スチールグリッドによるブラスト処理で表面を研掃。温度と湿度を適正に保った状態での塗装を実施する。
IMOの改定塗装基準では、2008年7月以降契約の船舶について、2009年1月以降起工または2012年7月以降引渡しの500総t以上の全船舶のバラストタンクに、温・湿度管理下でのブラスト処理・塗装が義務付けられている。下関造船所は現在、約15万m2の敷地をフルに使っており、新たにブラスト・塗装工場を追加するスペースがないことから、使用頻度が比較的少なかった第一ドックの埋め立てで対応することに決定。工場建設と並行して、船台周辺への設備投資により、造船所全体の生産性を高めていくこととした。
埋め立て工事には2009年後半から着手し、2010年9月には、ブロック移動用の150tクレーンも設置。また、ブラスト・塗装工場を設置して余った埋め立てスペースには、総組み立てエリアを拡張し、船台よりも作業性のよい地上での作業量を増加させる計画としている。
下関造船所では、今回の設備投資を含め高効率な運営体制をさらに追求することで、得意とする内航船や特殊船の競争力を一層高めていくと同時に、環境性能など新しい付加価値を持った船舶にも力を注いでいく。