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不二WPC、神奈川工業技術開発大賞を受賞

WPC処理を施したDLCコーティングピストンWPC処理を施したDLCコーティングピストン 神奈川県は、県内の中堅・中小企業の優れた工業技術・製品を表彰する「第27回神奈川工業技術開発大賞」の受賞技術・製品を発表、36件の応募の中から大賞に不二WPC( http://www.fujiwpc.co.jp )の「アルミニウム合金へのダイヤモンドライクカーボン技術」を選定した。

 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、ダイヤモンドに類似した特性を持つ炭素被膜を意味する。主に金属の低摩擦・耐摩耗性、耐食、耐薬品性に優れるなどの特性を有していることからコーティング技術の中でも注目を集めている。しかし、自動車部品などの小型軽量化のために使用されるアルミニウム合金では、アルミニウムと炭素の親和性の低さや大きな硬度差などの要因からDLC被膜の密着性が悪く、はく離しやすいことなどから、DLCを被覆したアルミ合金製部品は商用化できない状況だった。

 これに対し、同社では炭素との親和性が高く質量の重いタングステン(W)微粒子を用いて、アルミ基材にWPC処理(微粒子を圧縮性の気体に混合して高速で投射する表面改質技術)を行うことで、アルミ合金と相性の良い高密着型DLCコーティング技術を完成させた。アルミニウム合金製ピストンでは、今回大賞を受賞した技術を用いて被膜の耐久性が高まったことで、長期にわたり低フリクション化が図れ、耐摩耗性が向上することなどを理由に、レース用オートバイ向けパーツメーカーであるキタコがすでに採用を始めている。

 不二WPCでは現在、四輪車のアルミ合金製ピストン向けに開発、実験を進めているという。同社社長の下平英二氏は、「コア技術であるWPCにより、DLCの弱点だった密着性が改善されたことで、DLCの適用対象が大きく広がったと思う。とはいえコーティングである以上、DLCが永久にはく離しないわけではないが、DLCコーティングがはく離した場合でもWPCのマイクロディンプルによるオイル保持による低フリクションや耐摩耗性、耐焼付き性の効果が期待できるだろう」と話している。

 このほか同賞では、ジャパンプローブの空中で超音波を投射して検査対象の欠陥状況を画像化できる「非接触超音波探傷システム」が大賞を受賞した。