出光興産( http://www.idemitsu.co.jp )は、独自のメタロセン触媒技術を用いて開発した、低温流動性・低揮発性などに優れる高機能PAO(ポリアルファオレフィン)の高粘度グレードの販売を開始する。価格は既存PAOの1割アップ程度を予定。まずは外部委託で生産し数百t規模で販売、事業が本格化し2~3万tの自社装置建設による生産を開始する時点では年150億円の売上を見込む。国内石油元売りメーカーとしてPAOを手がけるのは同社が初めて。
同社は中東を除くアジア地域で唯一のアルファオレフィン(リニアレン)メーカー。アルファオレフィンの主用途の一つであるPAOは、鉱油では対応が難しい過酷な環境下で適用される合成潤滑油のベースオイルとして広く使用されている。このうち販売を開始する高粘度グレードは、耐久性を要求される風力発電用のギヤ油をはじめとした工業用潤滑油や自動車用ギヤ油向けのベースオイルとして使われる。
今回ユーザーへの供給が始まる高機能PAO(リニアレンPAO)は従来のPAO高粘度グレードと比べ、①低温流動性に優れ、粘度の温度依存性が小さい(従来品の流動点-30℃、粘度指数170に対して、流動点-40℃、粘度指数210)、②酸化安定性が高く、長期間の使用においても安定した品質を保持できるといった特徴があり、高機能PAOをベースオイルとして配合した潤滑油は、従来品を配合した潤滑油に比べ、省エネ性能に優れ長寿命で、環境負荷低減に大きく貢献するとしている。
同社では2011年度下期にも低粘度グレードを市場に投入する予定で、高粘度グレードから低粘度グレードのラインナップにより順次拡販を図る。