経済産業省( http://www.meti.go.jp )は、6月策定の「産業構造ビジョン2010」で提言されたインフラ・システム輸出に関する総合的な戦略を官民連携のもと実施しつつ今後の状況の進展に応じて新たな戦略を策定していくため、産業構造審議会貿易経済協力分科会の下に、「インフラ・システム輸出部会」を設置した。鉄道、航空宇宙、原子力、水ビジネスなどの主要団体トップや有識者が集まって、インフラ関連産業の海外展開のための総合戦略やインフラ・システム輸出を進めるにあたっての官民連携のあり方などについて意見交換していく。
産業構造ビジョン2010では、2020年までに海外分を含めて19兆7,000億円の新市場と18万7,000人の新規雇用を創出する目標を掲げている。その中でインフラ・システム輸出はその重要な戦略分野の一つに位置づけられ、政府がインフラ関連プロジェクトの受注などに積極的に関わるべく、今回インフラ・システム輸出部会が設置されたもの。
たとえば鉄道分野では、米国(全長1300kmのカリフォルニア高速鉄道網)やメキシコ、ベトナム、中国、インドネシア、タイなどで高速鉄道の建設が計画されている。自動車などによる輸送を鉄道などで代替しCO2削減に貢献しようという「モーダルシフト」を背景に、オバマ政権が5年間で130億ドルを投入する方針を打ち出す米国などを中心に、日本の新幹線やリニアモーターカーなどの高速車両技術が注目を集めている。鉄道のほか、はやぶさで注目される人工衛星など航空宇宙技術など、海外のインフラ関連プロジェクトの受注獲得を官民一体で検討していく。
部会長には浦田秀次郎・早稲田大学教授が就任、産業界からは大橋忠晴・川崎重工業会長(日本鉄道車両輸出組合理事長)、佃 和夫・三菱重工業会長(日本航空宇宙工業会会長)、川村 隆・日立製作所会長(海外水循環システム協議会)など多数が参加し、インフラ輸出の戦略を協議していく考え。