三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、米国アーカンソー州に風力発電設備の組立工場を建設する。同設備の中核機器であるナセルを生産するための工場で、当面の生産能力は年間約60万kW。回復基調にある北米市場の需要を取り込んで、米国でのシェア拡大を目指す。生産開始は2011年後半。同社が海外でナセルを生産するのは今回が初めて。
新工場は、アーカンソー州第2の都市であるフォートスミス市に建設し、同社原動機事業の米国拠点であるMitsubishi Power Systems Americas, Inc.(MPSA、本社フロリダ州)が運営・管理する。すでに工場用地となる敷地約36万m2を確保しており、年内には着工する予定。従業員数は当初300人規模となる見通し。
当面、同社の主力大型機種である2,400kW風車を年間約250基生産する方針で、その後段階的に生産量を拡大していく計画。また、今後需要の伸長が予想される低風速域向け長翼機種の投入なども検討していく。
なお、今回の工場建設には州および市政府による優遇策が付与されるほか、連邦政府の再生エネルギー事業に対する税優遇制度措置の対象にもなっている。
ナセルは、風力発電設備のタワー頭頂部にある風力を電力に変える装置。風車の回転軸、発電機・増速機・制御装置・電気設備などで構成する。
同社は1980年の初号機納入以来、四半世紀にわたり、風力発電設備の自主開発・製作・供給に取り組んできた国内最大の大型風力発電設備の総合メーカー。米国への参入は1987年で、以来、3,500基超の納入実績を誇っている。
米国の風力発電設備市場は、金融危機後しばらく停滞していたが、今は回復基調となってきており、今後大きな成長が期待される。同社はすでに北米向けのブレード(翼)生産拠点としてVienTek社メキシコ工場を確保しているが、今回の北米ナセル工場建設による現地生産化で、拡大する北米需要により一層積極的に対応していく。