日本精工(NSK、 http://www.jp.nsk.com )は、国産技術で初となる「高性能姿勢制御用ホイール軸受」を開発した。同品は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」に搭載され、2009年1月の打ち上げ以降、宇宙空間で観測を続けている。
衛星の姿勢制御用ホイールは、内部のローテティングマス(はずみ車)をモータで加減速させ、その際に発生する反作用トルクによって衛星の姿勢制御を行う。軸受は、ホイールの性能を左右するコア部品の一つ。真空環境において、軸受表面の微量の潤滑油だけで宇宙の軌道上で10~15年の長期間、安定して回転を続け、衛星の観測機能に悪影響を与えないよう、振動を低減する必要がある。また、打ち上げ時の振動や衝撃環境、及び軌道上での温度変動にも耐える必要がある。
今回同社が開発した製品は、ホイールの高信頼性に加えて、低振動、高速回転及び高出力・高トルク化の達成に貢献。蒸発しにくい潤滑性に優れた潤滑油や微量な潤滑油を安定供給できる保持器を採用した。また、低振動化を実現するために、炭化物を微細化した高清浄度ステンレス鋼を軌道輪に採用、軌道面には独自の洗浄技術を用いて高清浄度面を実現した。さらに、耐摩耗性に優れた特殊表面処理を施した高精度鋼球採用することにより、さらなる低振動化が可能となった。