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大阪大学、高速制御性と低コストを両立する有機半導体単結晶薄膜トランジスタを開発

「有機半導体単結晶薄膜トランジスタ概略図」 大阪大学の竹谷純一准教授は、高速制御性と低コストを両立する有機半導体単結晶薄膜トランジスタを開発した。

 高速駆動を可能にする有機材料を独自開発した塗布法により単結晶化し、有機単結晶薄膜を作製することによって、現在液晶薄型ディスプレイに用いられているアモルファスシリコン薄膜トランジスタの5倍以上の高速駆動(電子移動度5.0cm2/Vs)性能を実現した。従来の塗布法では、有機半導体材料を塗布したのちに回路に合わせてパターニングする2段階のプロセスが必要であったが、今回開発した塗布法は、構造物を起点とした結晶成長によるため、回路設計通りに構造物を配置すれば、有機半導体膜の形成と同時にパターニングも可能となる。

 また、典型的な塗布型有機半導体薄膜トランジスタ作製に必要なパターニング工程を省くことができるため、印刷法と組み合わせることで大面積ディスプレイの低コスト生産を実現できる。さらに、有機EL素子と組み合わせて曲がるディスプレイとして活用できるほか、電子ペーパーのアクティブマトリックス材料としての応用などにも期待ができるという。アクティブマトリクスとは、液晶ディスプレイの駆動方式の一つ。X軸とY軸の2方向に導線を張り巡らし、各画素ごとにアクティブ素子を配置したもので、X軸とY軸の両方から電圧をかけて交点の液晶や有機ELの画素を駆動する。

 今回の開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産業技術研究助成事業の一環。