丸紅情報システムズ( http://www.marubeni-sys.com )は、カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)専門メーカーの米シーナノテクノロジー社(米国カリフォルニア州)と国内独占販売代理店契約を締結、同社が製造したカーボンナノチューブを国内の企業向けに販売を開始した。
シーナノ社は、中国北京市に世界最大規模の年間500tのカーボンナノチューブの量産工場を持ち年間を通じ安定供給ができるほか、低コスト、高品質での量産が可能で、多層カーボンナノチューブ製品(FloTube 9000)の場合、国内市場平均価格の約8割となる1kgあたり11,000円からという低価格販売を実現した。また、多層カーボンナノチューブ製品を中心に、純度や形状、単層および二層のカーボンナノチューブやマスターバッチなどのユーザーニーズにも細かく対応する。
カーボンナノチューブは、ナノテクノロジーの代表的な物質で、直径約0.7~70nm、長さ数十μmの円筒形をしたカーボン(炭素)の結晶で、原子構造は竹かごに類似した六角形の結合体。今後、半導体分野では、導体および半導体としての活用が可能で、すでに半導体トレイなどの静電防止用品に活用されているほか、カーボンナノチューブの優れた水素吸収力からパソコンや自動車用のリチウムイオン電池など、燃料電池への応用も開始されている。
カーボンナノチューブの特徴は、以下のとおり。
- 引っ張り強度は、アルミの約半分の重さで、鋼鉄の約20倍。
- 導電性は、銅の約1000倍で、銀よりも高い。
- 熱伝導性は、銅の約10倍で、ダイヤモンドより高い。
- 吸着力は、最大13~14%の水素を吸収することが可能。
- 非常に柔軟で、曲げ伸ばしに強い。
- 薬品反応に対して安定性がある。
主な活用分野は以下のとおり。
- 自動車、パソコンのリチウムイオン電池、太陽光発電用の水素電池などの燃料電池
- 自動車などの塗装材料、印刷用のインク
- テニスラケット、野球の金属バットなどのスポーツ用品素材
- 半導体トレイ、最先端半導体素子
- 電界放出型ディスプレー(FED、Field Emission Display)、液晶ディスプレー、タッチセンサーディスプレーなどのディスプレー
- カメラ、ビデオなどの光学機械
- センサーや医療機器
- 様々な液体や気体のフィルター
- 新しい建築素材、樹脂や繊維など
- ナノバイオテクノロジー関連デバイス