メインコンテンツに移動

安川電機、搬送用途に適用可能な移動ロボットの受注開始

安川電機「ロボポータ」 安川電機( http://www.yaskawa.co.jp )は、製造業・非製造業を問わず搬送用途に適用可能な移動ロボット「RoboPorter(ロボポータ)」を開発・製品化し、12月10日より受注を開始する。主な用途は組立工場でのセル内部品供給、物流倉庫での物品仕分け、オフィスビルでの社内便配送など。初年度100台、次年度300台の販売を見込んでいる。

 同社の産業用ロボットは、溶接・塗装・組立などの生産ライン上の各工程に設置・固定され、送られてくるワーク(加工対象)に対して作業を行っている。今回のワーク工程間移動に適用可能な移動ロボットの開発により、生産ラインに点在するロボットを線で結び、同社ロボットによる自動化の範囲拡大が可能。同社ロボットでの統一により、各ロボット間の親和性向上によるシステムの簡素化や、対応窓口一元化での要求機能に対する対応力向上・迅速化などにより、顧客固有の生産ライン構築に柔軟に対応できるという。

 また、同品は、サービス(業務支援)ロボット実用化への取り組みの中で、自律走行が可能な移動ロボットを目指して開発された機能の適用により、製品化し市場投入したもの。今後は、市場投入による顧客からのフィードバックを取り込み、移動ロボットの更なるレベルアップを行うと共に、人手不足が深刻化するサービス分野での自動化で、安全性や操作性を含めた要求の実現と製品化を図り、事業分野の拡大を図る。

 同品は、移動軌道を規定するガイドテープ※1を必要としない。ロボット本体に記憶された軌道データと、各種センサでの空間認知により正確に軌道上を移動する。これにより多岐に渡る軌道設定が容易で、現在位置から任意のポイントへの最短軌道の選択を可能とし、移動時間の短縮を実現する。さらに、複数台の効率運行を可能にするホストPC用運行管理ソフトの同梱や、バッテリの自動充電機能及び交換を容易にする構造にも対応している。また、各種センサによる空間認知を2重3重の監視機能としても使用し、安全性を向上させている。

 主な特徴は以下のとおり。


  1. 空間認知による軌道補正
    ・一般に、ガイドテープを使わない自動搬送台車では、車輪と路面との滑りなどにより誤差が蓄積し、長距離走行により目標軌道からのズレが発生する。同品は、本体前面にビジョンセンサを装備しており、周囲状況を逐次画像認識しロボットが記憶する画像データと比較することで、位置・方向の軌道補正を実現している。さらに、目的地周辺での精細な位置確認にはレーザ距離センサによる測長を行い位置決め精度の向上を行っている。
  2. 経路計画
    ・積載物の行き先に応じて、多岐に渡る軌道から効率的なルートをロボット自身が判断し、選択して走行することができる。また、行き先到着時には、ディスプレイ・自動運転表示灯・警報音によって作業者に告知する。さらに、複数台運用時の運行状況のモニタリングや、相互干渉から起こるデッドロック※2を回避できるホストPC用運行管理ソフトを同梱している。移動ロボットには通信機能を搭載しており、ホストPCと通信することにより、効率的な運行管理が実現できる。
  3. 電源管理
    ・バッテリ充電は、作業者が充電器を接続して行う方法のほか、ロボット本体からバッテリ自体を容易に取り外せる設計となっており、予備バッテリ(オプション)との交換で、ロボットの休止時間を最小限にできる。さらには、接触式給電装置(オプション)による自動充電機能も準備しており、ロボット自身が無人・自動で充電を行うことができる。これにより、作業の無い深夜の自動充電や、運行管理ソフトと複数台の移動ロボットによる、自動充電時間を考慮した運行管理など、継続的な設備稼働が可能となり、生産ラインの自動化に貢献する。
  4. 安全機能
    ・本体前面中央部のレーザ距離センサ、および本体前面の光電センサにより、進行方向に存在する障害物を検出し、減速停止する。障害物が除去されたことを検知すると、自動的に走行を再開する。さらに、接触検知センサを内蔵したバンパを全周に備え、万一障害物との接触があった場合には速やかにこれを検知し、減速停止する。加えて非常停止ボタンを装備しており、これを押すことで駆動モータ主回路電源を強制的に遮断し停止する。

※1:ガイドテープ
無人搬送台車等の移動軌道(道しるべ)を規定するもので、床面に敷設する磁気テープなどがある。床面の汚れや毀損による剥がれに弱く、多岐に渡る軌道の維持や変更が煩雑。

※2:デッドロック
狭い通路での離合や十字路など、軌道が交錯する場所に複数の移動ロボットが接近することで、お互いが軌道を譲り合い双方のロボットが動けなくなる状態。