出光興産( http://www.idemitsu.co.jp )は、独自のメタロセン触媒技術を用いて、低温流動性と低揮発性に優れる高機能ポリアルファオレフィン(高機能PAO)を開発した。「従来のPAOでは達成できなかった特性を持つことから、すでに世界の潤滑油大手メーカーから早期供給要請がある」(同社広報部)とのことで、まずは2010年上期から外注委託で数百t規模で生産、販売を開始する。国内石油元売りメーカーとしてPAOを手がけるのは初めてとなる。
同社は東アジア唯一のアルファオレフィンメーカー。アルファオレフィンの主用途の一つであるPAOは、鉱油では対応できない過酷な環境下で適用される合成潤滑油のベースオイルとして広く使用されている。同社も含め潤滑油メーカーでは現在、エクソンモービルやイネオス オリゴマー、ケムチュラ、ネステなど数社のサプライヤーからPAOを購入しているが、同社では今回、長年蓄積してきたメタロセン触媒技術を用い独自の分子構造制御を行うことにより、高機能PAOの開発に成功、自社の合成潤滑油への適用も含め、製品化へのめどをつけた。
開発品は従来品のPAOと比べて、低粘度グレードでは低粘度・低揮発性で、高粘度グレードでは低温流動性が良く粘度の温度依存性が小さいほか、合成潤滑油ベースオイルとして省エネ、長寿命特性に優れることから、さらなる環境負荷低減にもつながるという。自動車用エンジン油向けなどの低粘度グレードから、付加価値の高い工業用潤滑油向け高粘度グレードまで、幅広く粘度グレードをカバーした。
同社では高機能PAOに対する市場の反響を見ながら、年産2~3万t対応の自社装置建設による本格事業化を視野に入れ、販売を拡大していく考え。