富士フイルム( http://fujifilm.jp/ )は、X線量の低減と高画質を両立するため、X線照射面側から光信号を読み取るフラットパネルディテクタを搭載した、立位タイプのデジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO U」を富士フイルムメディカルを通じて販売開始した。
デジタルX線検査は、さまざまな疾患の検査方法として広く定着している。最近ではX線変換効率がより高く、画像表示スピードもさらに速い、FPD搭載のデジタルX線画像診断装置が注目され、大病院を中心に導入が進んでいるという。現在、FPDは、使用される素材によって、アモルファスセレン(a-Se)やヨウ化セシウム(CsI)、ガドリニウムオキサイドサルファ(GoS)の3つのタイプがあるが、GoSタイプは、素材自体の性能安定性がa-SeやCsIと比べて優れているため、管理しやすいという利点がある一方で、画質のさらなる向上が課題とされてた。
今回発売したGoSタイプの「CALNEO U」は、画質向上のため、従来型のFPDとは反対側のX線照射面側にセンサーを配置し光信号を読み取る、世界初の「ISS方式」のFPDを搭載している。光信号がセンサーに到達するまでの距離を短縮させて、拡散・減衰を抑えこむことで、X線変換効率が大幅に向上する。さらに、精密塗布技術や粒子形成技術により、蛍光体層を厚くして、高密度に蛍光体粒子を配置しているため、少ないX線量でもシャープなX線画像を提供。撮影後、約3秒で画像を表示し、スピーディーに確認できる。
また、現在の医療施設でスタンダードとなっているデジタルX線画像診断装置「FCR」に採用している同社独自の高度な画像処理技術“Image Intelligence™”を搭載。高いX線変換効率との相乗効果で、診断に最適な高画質画像を実現するとともに、臨床現場で頻度高く行われる過去のFCR画像との比較診断の際にも、違和感を与えない診断画像を提供する。このほか、「CALNEO U」の操作と画像処理を行う制御装置「Console Advance(コンソール アドバンス)」は、「FCR」の制御装置としても兼用が可能。既設の「FCR」を最大限に活用した最適なワークフローを提供するとともに、省スペース化にも貢献する。
富士フイルムは、昭和56年に世界に先駆け医療用デジタルX線画像診断装置「FCR」を開発し、医療用画像のデジタル化を実現することで、画像診断の効率化と医療の質の向上に大きく貢献してきた。また、FPD搭載タイプとしては、平成19年に、X線から電気信号への高い変換効率で最高画質を実現し、当社デジタルX線画像診断装置のフラッグシップとなる「FUJIFILM DR BENEO」を発売。現在、大学病院や大病院を中心に導入されている。今後、地域中核病院や中小規模病院など向け次世代スタンダードタイプの「CALNEO U」も加えた幅広いデジタルX線画像診断装置のラインアップで、多様化する顧客のニーズに応えていく。