東芝メディカルシステムズ( http://www.toshiba-medical.co.jp )は、静止が困難な小児や高齢者、安静下においても動いてしまう腹部や骨盤、肩関節などのMRI検査において、撮影時の体動の影響を低減する新機能(JET)を搭載したMRIシステム「EXCELART Vantage™(エクセラート・バンテージ)」を9月より販売する。
MRIは、X線の被ばく無しに自由な断面を撮像するだけでなく、造影剤を用いずに様々な血管や膵管・胆管のような管腔も描出できることから、非侵襲な検査として幅広く医療の現場で活用されている。
一方、医療経営における採算性が大きく問われる現在、検査の効率化が要求され、短時間に安定して検査できる機能が強く望まれている。これらのさらなる安心・安定という新たなニーズに対応し、臨床性能をより高めるための新機能を開発した。
新機能JETは、患者の動きによるアーチファクトを低減する。 MRIの検査は、検査中静止しておくことが必要なため、静止が困難な小児や高齢者、安静下においても動いてしまう腹部や骨盤、肩関節などの検査も、できるだけ動きを抑制する工夫が必要だった。JETは全身の様々な領域で体動の影響を低減する新機能。これによって安静できずに検査不可能となっていた検査を減らすことができるだけでなく、呼吸によって動く臓器でも動きの影響を抑えた画像を得ることができる。また、体動によって画像が劣化した際に行われていた撮り直しも少なくできるため、検査時間の短縮化、スループットの向上にも貢献する。
エクセラート・バンテージの特徴は以下のとおり。
- 患者にやさしいMRI
静音化技術Pianissimo™を搭載。撮像時の検査音を低減し、MRI検査時の音による患者の不安感を低減する。またMRI検査室外に漏れる音も小さくなるため、待合室の環境も向上できる。検査空間を軸長1495mmと従来比約25%短くした(同社装置EXCELARTとの比較)。腰椎や骨盤、下肢の撮像では、頭が検査空間に入ることが少なくなるため、検査時の圧迫感を低減し、安心して検査を受けられる。
- 検査時間を大幅に低減できます。
マルチチャネルアレイコイルの採用で、より信号雑音比の高い画像で検査できる。またSPEEDER技術*1により、最大4倍速での撮像時間短縮が可能となり、短時間に検査することができる。また、複数のコイルを同時接続可能なAtlasSPEEDER™コイルを搭載することで、コイル交換の手間が低減され、撮像時間の短縮化のみでなく、患者の乗せ変え時間も短縮できる。
- 造影剤を用いずに様々な血管を検査できます。
FBI*2によって造影剤を用いずに様々な血管を描出できる。様々な領域のMRA検査をルーチンとして加えることが可能となり、診断の幅が広がる。また、その付随技術であるTime-SLIPでは、選択的に血管を描出できるだけでなく、血流の動態も把握できる。目的に応じた検査を行うことができ、術前の検査だけでなく、術後のフォローアップなど、血流機能を加味した定期的な検査が可能になりる。
*1:SPEEDER技術:複数のコイルで信号を収集することで、基本的な画質を変えることなく、撮像時間を短縮化する手法。
*2:Fresh Blood Imagingの略