ジェイテクト、DLC-Si被覆電磁クラッチが発明賞を受賞

　ジェイテクト（ http://www.jtekt.co.jp ）と豊田中央研究所が共同で発明した、電子制御4WDカップリング（ITCC）に使用されている「DLC-Si（シリコン含有ダイヤモンドライクカーボン）被覆電磁クラッチ」が、平成21年度全国発明表彰（主催：社団法人発明協会）において「発明賞」を受賞した。表彰式は7月29日に東京で開催される。

　全国発明表彰は優れた発明を完成した人、実施化に尽力した人を顕彰することにより発明の奨励・育成を図り、日本の科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としており、同社では初めての受賞となる。

　4WD車の走行安定性・安全性向上や低燃費化を実現するためITCCへのニーズが高まってきているが、ITCC用クラッチには小型化と長寿命化の両立という課題があった。これらの課題を、シリコンを含有したダイヤモンドライクカーボン（DLC-Si）というダイヤモンドに近い特性を持つ非結晶炭素を厚さ数ミクロンで被膜した電磁クラッチを用いて解決したのが今回の発明で、この被膜により耐摩耗性が向上し、耐久性は従来品（ジェイテクト製）に比べ8倍にまで高めることができた。

　本発明を適用したITCC搭載の車は駆動力の最適制御により、駆動系の軽量化やエンジンの高効率化が可能となり、飛躍的な燃費向上を実現している。環境対応が重要性を増す中、2004年の生産開始以来、日米韓の大手自動車メーカーで採用、2008年には、電子制御の駆動力伝達装置の世界市場で約50％のシェアを達成し、燃費の良いITCCの４WD車を拡大することで、環境負荷低減にも貢献している。