三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、三菱商事と協力して、マレーシアの高速道路においてノンストップ自動料金収受システム(ETC)の実証試験を開始した。渋滞問題の解消に向けて既設ETCのマルチレーン・フリーフロー方式へのアップグレード化を検討している同国政府の協力を得てスタートしたもので、現在の日本のETC規格に準拠した技術が海外で採用されるのは今回が初めて。実証試験は2009年末までの予定で、同社はこれを足掛かりとして、同国での既設ETC更新工事の受注を目指していく。
実証試験は、首都クアラルンプール郊外のダマンサラ・プチョン高速道のペンチャラ料金所で開始した。実証試験においては、同社の路側通信機器とETC車載器を使い、ETC技術の信頼性やすでに流通しているETCカードとの互換性、既設ETCとの混在運用の信頼性を確認する。また、複数車線を減速せずに走行する車両に課金するマルチレーン・フリーフロー方式の導入に際しての当社技術の優位性をアピールする。
今回実証試験を行うETCシステムの特徴は、高い信頼性を誇る日本のETC規格であるアクティブ方式の狭域無線通信(DSRC)を活用していること。また、海外の市場ニーズを踏まえ、ETCカードにはプリペイド方式の非接触ICカードを採用し、電源は電池駆動としている。日本発の“世界標準”を目指す“グローバルETC”であり、積極的に営業を展開しているもの。この技術を採用したマルチレーン・フリーフロー方式が導入された場合には、1時間に車両約2,000台からの料金収受が可能となり、渋滞の解消に大きく貢献する。
マレーシアは東南アジアの高速道路大国。同社は、そのような国で開始された今回の実証試験を弾みとして、同国での既設ETCのアップグレード契約の獲得を目指すとともに、ETC導入機運が高まる世界各国・地域に幅広く当社技術を提案し、グローバルETCの積極的な拡販を図っていく。