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自技会、交通事故ゼロを目指すヒヤリハットデータベースを作成

 自動車技術会( http://www.jsae.or.jp )は、2006年から東京・静岡のタクシー会社の協力を得て100数十台のドライブレコーダをタクシーに搭載、2008年度末までの間に33,000件のヒヤリハット事例*1を集積した。この活動は、本会の共同研究センター内に設置された「ヒヤリハットDB(データベース活用委員会)」が中心となり推進したもの。
*1:急ハンドルや急ブレーキがトリガーとなって収録された危険事例。

 2008年の交通事故死者数は5,155名と、2010年の目標値5,500人(第8次交通安全基本計画)を上回るペースで改善しているものの、物損事故は700万件を超え交通事故による死傷者数は依然として100万人を数える。ヒヤリハットDB活用委員会は、ヒヤリハットデータの収集・蓄積によりデータベースを充実し、その活用により交通事故低減に貢献すべく2006年に発足し、活動を開始した。

 従来の交通事故のデータは事故発生後の検証データを集積することに留まっていたが、今回集積したものは、ヒヤリハット直前・直後の「生の電子記録データ*2」で、予防安全の研究・開発用のデータとして非常に有効。
*2:ヒヤリハット発生日時、発生前10秒/後5秒の映像、各方向の加減速G、車速、GPS情報など

 自動車メーカーや自動車部品メーカーで、自動車の予防安全システムの開発にヒヤリハットデータを有効活用している。交通事故の分析・研究への活用としては、「黄信号におけるドライバ挙動の分析」、「前方車両追従時における、前方車両と隣接車を含む交通環境の分析」など、各種研究が大学などで行われている。 また安全教育への活用としては、ドライバーに対する安全教育のツールとして、ドライブレコーダの画像を有効活用している。

 さらに道路環境改善への活用として、ドライブレコーダの画像から、どのような道路環境が危険な状況を誘引するのか、その要因を抽出、また具体的な危険箇所の抽出を行うなど、今後の活動が期待されている。