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経産省、ロボット産業政策研究会で報告

 経済産業省製造産業局の「ロボット産業政策研究会(委員長:三浦宏文工学院大学学長)」は3月25日、近い将来に次世代ロボットが実際に役立つものになるよう、特に技術開発・事業開発、安全確保、社会ルールの整理・策定のための取組みを提示する報告書をまとめた。

 製造産業局では2008年9月、「ロボット産業政策研究会(委員長:三浦宏文工学院大学学長)」を立ち上げ、これまでに計5回研究会を開催、介護・福祉分野など様々な分野で役に立つロボットの実用化を強力に推進するため、技術開発、事業開発、安全性の確保やルールの策定のための取組等について検討を進めていた。今回の報告書では「次世代ロボット産業政策の対象と課題」として、A:「移動作業型(操縦中心)」、B:「移動作業型(自律中心)」、C: 「人間装着(密着)型」、D:「搭乗型」の「有望4タイプ」ごとに、近い将来の市場化に向け早急に検討すべき具体的な安全基準やルール策定、安全技術開発が必要とした。

 技術革新のあり方としては、人材が絶対的に不足する時代を迎えようとしており、介護・福祉分野などで次世代ロボットのニーズが高まっているが、対人安全性の確保や社会システムの未整備などによりの民間企業による本格的産業化は未だ困難として、比較的接触少な清掃警備等・市場展開シナリオに沿って技術的課題にプライオリティを付けて研究開発をすべきとした。概要は以下のとおり。

1.介護・福祉分野のロボットついては、まずB to B(介護施設等)で導入、次にB to C(要介護者等)で活用(一般向けの利用やロボテク製品が先行)

2.対人安全技術を開発するとともに、安全基準と安全性検証手法を策定すべき

3.「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(平成21年度新規16億円(平成23年度中間評価))
(1)有望4タイプのロボットの安全技術を集中的に開発

(2)厚労省等と連携して、模擬環境及び実環境での実証試験を実施

(3)安全等データを取得・蓄積・分析。具体的な安全基準・検証手法を策定、国際標準化

4.システム改革
(1)現場がロボット/ロボテクにより、どう変わるかを「見える化」「見せる化」し、利用価値、安全性等を関係者で共有する人的ネットワークが必要

(2)幅広い関係者が参加し、ロボットの有用性低下、開発コスト激増となるような、過度に厳格な社会ルールとならないようバランス重視の検討が必要

5.中間成果
(1)生活支援ロボット実用化プロジェクト等の実証試験における情報共有等、厚労省等との連携を強化

(2)「ロボットビジネス推進協議会」における人的ネットワークの構築や、法令対応のコンサルティング機能を強化

(3)制度的対応を推進

6.海外展開
(1)ISOなどにおける国際標準化を引き続き主導。海外へのPRが重要

7.産業人材育成
(1)ロボコンや機械設計人材育成など、ロボットを題材とした教育を小学校から大学まで各段階で進展

8.産業人材育成に向け、関係者が連携し、体系化していくことが重要
(1)介護・福祉: 工学的・臨床的な評価の連携、公的支援の対象となる可能性

(2)無線通信: ロボットにおける新しい電波の利用形態

(3)個人情報: 個人情報保護ガイドラインの遵守

(4)道路通行: 交通安全に配慮した道路交通法や道路運送車両法との整合検討など