三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、国内で多くの実績を持つ「MACH-30G」ガスエンジンのシリーズに加え、効率や信頼性を高めた新型ガスエンジン「MACHⅡ-SI」を開発、実証運転を開始した。従来の軽油など補助燃料を使う「マイクロパイロット着火方式」に代え、点火プラグを使用する「火花着火方式」(SI:Spark Ignition)を採用したほか、開発にあたっては、従来シリーズの経験を踏まえさらなる効率向上を目指し、発電に蒸気エネルギー回収を合わせた効率で66.1%と出力6,000kWクラスで世界最高水準を達成し、発電効率単独でも従来シリーズ比で1%向上した。二酸化炭素(CO2)削減に貢献する高効率エンジンへのニーズに応えていく。出力は3,650から5,750kW。
効率向上策として、蒸気発生などによる熱回収や、排気エネルギーの有効利用に主眼を置いた設計としたほか、起動から100%負荷に至るまでの時間が従来比で半減し、負荷追従性も向上している。加えて、発電効率を高めるため、シリンダーカバーやピストンなど燃焼室部品の形状を改善。混合気形成および副室形状や空気比の最適化などにより燃焼を改善し、熱損失を低減させた。
これら改善技術に関しては、2005年度から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本ガス協会の支援を得て取り組んできた共同開発事業「超高効率天然ガスエンジン・コンバインドシステム技術開発」で得られた成果も活用している。なお、今回の最適化技術は、従来機種であるマイクロパイロット着火方式のMACHガスエンジンにも適用していく。 MACHⅡ-SIは昨夏、横浜製作所内の実証機で始動性や性能、制御面の確認試験を行い、このほど同所内で実証運転を開始した。今後耐久性などのテストを実施し、信頼性確立に向けた最終検証に取り組む。
三菱重工のガスエンジンMACHシリーズは、運転時間17万時間を超えるディーゼルエンジン「KU30」をベースに開発、2001年度の販売開始以来、これまでに 150台を超す納入実績を持つ。