三菱重工、PWR原発取替用蒸気発生器6基を仏電力公社から受注

　三菱重工業（ http://www.mhi.co.jp ）は、フランス電力公社（EDF）から、同国内の加圧水型（PWR）原子力発電所で用いられる取替用の蒸気発生器（SG）6基を受注した。2013年?2014年にかけて納入していく予定。EDF向けのSG受注は、2005年の初受注に次ぐもので、累計では12基となった。

　EDFは仏国内で58基のPWRを運転、欧州で約3,850万戸の顧客を持つ世界最大級の発電事業者。EDFでは、設備更新計画に基づき1980年代に運転を開始したPWR原子力発電所のSGを順次取り替えている。

　EDFのSG発注先を選定する国際入札で、三菱重工はフランス原子力市場で提携しているComex Nucleaire社（CxN）と共同受注した。CxNはマルセイユに本社を置き、原子力施設への専門的なアフターサービスとメンテナンスを提供しており、三菱重工とは2002年から提携関係にある。

　SGは高さ約21ｍ、総重量は約300tで、同社神戸造船所が製作を担当する。低合金鋼製の耐圧容器（蒸気発生器は加圧された1次冷却水および2次冷却水による強い圧力を受けることから、強靭なマンガン・モリブデン・ニッケル鋼を用いた耐圧容器として製造）の内部に、最新素材であるインコネルTT690合金製（特殊熱処理により耐腐食性を高めた最新のニッケル・クロム・鉄合金）の伝熱管が１基あたり4,000本以上挿入される。これにより原子炉で発生させた熱を1次冷却系（原子炉系）から2次冷却系（タービン系）に伝え、タービンを駆動させる。PWR原子力発電所の中核的な役割を担う最重要機器の一つ。

　2005年に受注したEDF向けSG6基は現在製作中で、最初の工場出荷を2008年12月に行った。三菱重工はフランスをはじめ世界の主要な原子力市場に対し原子力用機器の販売拡大に取り組んでおり、取替用SGでは、フランス、ベルギー、米国などで合計22基の受注実績を持つ。