NTN(Tel.0594-24-3819、http://www.ntn.co.jp)は、マシニングセンタなどの工作機械主軸を対象に、エアオイル潤滑下でアンギュラ玉軸受並みの世界最高速回転を可能にする「高速円筒ころ軸受」を開発した。
従来のマシニングセンタや複合工作機械の高速主軸では、フロント側に組合せアンギュラ玉軸受、リア側には円筒ころ軸受が適用されている。しかし、最近の複合加工機でのミリング主軸などでは主軸の剛性向上を目的に、フロント側に組合せアンギュラ玉軸受に加えて円筒ころ軸受を配置する事例がある。この場合、円筒ころ軸受にもアンギュラ玉軸受と同等の高速性が必要となり、円筒ころ軸受のより一層の高速化が求められている。
そこでNTNでは、以下の2点を着眼点として開発を進めた結果、エアオイル潤滑下でアンギュラ玉軸受と同等のdmn値325万という世界最高速の回転性能を有する円筒ころ軸受の開発に成功した。
(1)静止エアオイルノズルの外径面で保持器内径面を案内する新しい案内形式を取り入れることで高温になった油が停留することがなく、比較的低温の新鮮な油で案内面が常時潤滑されることから高速回転性が向上する。
(2)高速運転時の内輪の熱膨張と遠心膨張による予圧過大に起因する発熱を抑えるために、内輪をセラミックスで構成すると同時に、内輪の両端につばを兼ねた側輪を圧入して高速回転中のセラミック内輪に発生する応力を緩和する方法を新たに採用することで高速回転性が向上する。
本製品では、エアオイル潤滑で世界最高速dmn値325万(同社従来エアオイル潤滑に対して40%向上、軸受内径φ70mmで回転速度35,000min-1)を実現するほか、軸受剛性が約30%向上(ころ・内輪をセラミックスで構成した場合)。また、軸受の組込み作業性を大幅に向上する(セラミック内輪と鋼製軸のはめあい代が従来比80%減少)。