三菱重工業は、ヘリカルギヤ(はすば歯車)や二段ヘリカルギヤなど多様な歯車の歯切り加工を実現するギヤシェーパ「ST40A」を発売した。切削工具と加工対象物の干渉を防ぐリリービング(逃し動作)機構を日本で初めてNC化することにより、加工対応の幅を広げたのが特長だという。自動車や建設機械、航空機をはじめとするあらゆる歯車製造現場向けに販売する。
同品は、ヘリカルギヤ加工時のねじれ運動を世界で初めてNC化することにより、従来必要とされていたヘリカルガイドを不要にした「ヘリカルガイドレスギヤシェーパST40」をフルモデルチェンジしたもの。
今回の開発では、ST40ではNC化されていなかったリリービング機構をNC化することで、7軸完全NC化を実現。これにより、歯筋中央部をふくらませるクラウニング加工や歯筋方向に傾斜をつけるテーパ加工など、多様かつ高精度な加工において簡単・自在に対応できるようになった。
また、主軸ストローク回数は、最高速度を500回/分から600回/分と1.2倍にして生産性を重視した高速加工能力を向上させる一方、最低速度を60回/分から30回/分と半減して硬い材質のワーク向けなどの低速加工能力も高めることにより、加工の対応幅が大きく広がった。さらには、チルト(傾斜)テーブルを用いずに0.3度までのテーパ加工を可能にしたほか、オプションの充実や操作性・安全性・省エネ対応など様々な点に配慮した設計としている。
米国をはじめ世界的に、自動車・建設機械の変速機の多段化や歯車機構の変化に伴う歯車の大量生産や、小型旅客機の量産化に伴う高硬度歯車ニーズの増大などを背景として、あらゆる歯車製造現場において、付加価値の高い各種歯車加工に向けて開発された。